政治そのほか速
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3月22日から25日にかけて、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が来日した。これをきっかけに名だたる日本の大企業がインドネシアへの追加投資を発表し、その総額は何と56億ドルにも上る。さらに日本政府も、10億ドル以上もの円借款を決定した。
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まさにインドネシア黄金期が訪れようとしている。だがその裏で、巨額の投資資金の恩恵に未だありつけない人々もいる。以前お伝えした「牛小屋に住む警官」もそうだが、この国は富裕層と貧困層、都市部と農村部の格差があまりに激し過ぎるのだ。
■世界一危険な通学路
インドネシアのメディアで時々話題になるのが、「橋を渡る子どもたち」である。まずは全国紙「コンパス」の記事を挙げよう。この記事にある写真を見て、早速ながら驚かされてしまう。骨組みしかない老朽化した吊り橋を、自転車通学の子どもたちが渡っているのだ。
高さ20メートル、長さ50メートルのこの吊り橋は中央ジャワ州カランガニャルにあり、作られたのは1920年前後。インドネシアがまだオランダの植民地だった頃だ。いつ崩壊してもおかしくはない。だが地元の人々にとっては重要なインフラであり、これがなくては生活が成り立たない。こうした吊り橋は、インドネシアの全国至る所にある。アンタラ通信が各地の吊り橋の写真記事を配信しているが、いずれも「命懸けの通学」と言っても過言ではない光景を見ることができる。外国からの投資が相次ぐインドネシアの、影の部分である。
■投資マネーの行き先
ジャカルタやスラバヤといった大都市では、地下鉄やライトレールの建築計画が進められている。ジャワ島横断高速鉄道の構想もあり、それには日本の新幹線が導入されると言われている。都市部は日々進化している。だが、農村部はどうだろうか? 新幹線どころか、毎日利用する道路すらもろくに整備されていない。それが当たり前と化してしまっていることが問題なのだ。
今この時も、現地の小学生は崩落寸前の橋を渡っている。学校へ行くために。「将来を見据えた投資」ということを重要視するなら、未来のビジネスマンや国会議員の育成に資金を投じるのも一つの手段ではないだろうか。
(文=澤田真一/日本とインドネシアを往復するフリーライター)