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『子育ては心理学でラクになる』(DaiGo/主婦と生活社)
「うちの子、ちっとも勉強しない」という親のイライラに対して、解決策を説く子育て本は世の中に数多く刊行されている。筆者もいくつか読んでみたことはあるが、時間とお金の余裕がある人しか真似できない提案に絶望感が増したり、説教めいた口調にプレッシャーを受けたりするばかり。なかなか、これというものに巡りあえないでいた。
そんな中、メンタリストのDaiGoが書いた子育て本を発見。タイトルは『子育ては心理学でラクになる』(主婦と生活社)だ。「子育て経験のない若造に子育て本なんて書けるの?」と扉ページを開いてみると、「75.6%の親が子育てにイライラしている」の一文が目に飛び込んでくる。「そうか私だけじゃない!」と心をつかまれる導入だ。さすがはメンタリスト、読者の引き込みがうまい。
「子供に言うことをきかせようとする時は、怒っても無駄、○○しなさいもダメ」というのは、最近の子育てマニュアルでよく言われることだ。しかし、メンタリストを名乗る著者らしいのはここから。どのような方法を使えば、親がイライラせずに子供が生き生きと成長できるか、その提案が新しい。
まず著者は、子育て中のイライラの原因は、子供が親の言うことをきかないことにあると断言。そして、言うことをきかせたいという考えを捨て、マインドマップを活用しようと提案をする。
マインドマップとは、一枚の紙の中心にキーワードを書き、そこから放射状にアイデアを書き連ねていく思考整理法だ。
まずは、真っ白な紙に、子供が興味を持っていることを書いてみる。これが中心となるキーワードであり、「子供の気持ち」を置くのがポイントだ。そこから線を引き、将来就いてほしい職業など、親のやらせたいことを書く。さらに、ここからまた線を引き、最初のキーワードと親のやらせたいことの両方に見合う、今できることを書く。1つのキーワードから出る線は複数本あってよく、可能性のあるなしにかかわらず、思いついたものをどんどん書いていく。
●マインドマップを通して見えてくるのは、子供の夢と親の夢の合致点
例えば、「お菓子作りが好き」と最初に書いたとしよう。ここから線を引き、親のやらせたいことである「英語ができるようになってほしい」を書く。さらにまたそこから線を数本引き、「お菓子作り」と「英語」から連想できる今できることを書く。「英語のレシピ本をあげる」「世界中のお菓子を調べてみる」「海外で修行を積んだパティシエの本を一緒に読む」などだ。こうして書き出されたアイデアは、親も子供も双方が自分から積極的にできること。今すぐできそうなものから実行に移してみるといいだろう。
これで頭ごなしに指示を与えなくても、子供が自ら親がやってほしいと思うことをやるという流れが作れる。人間は誰でも、やらされることはやりたくないが、興味のあることは言われなくてもやるものだ。なるほど、これなら、親はやってほしいのに子供はやりたくないという、バトル一歩手前の状況から抜け出せそうだ。
●マインドマップは親自身を見つめるのにも役立つ
次に、親の気持ちを中心にしたマインドマップを作ってみよう。すると、親が怒りを覚えてしまう本当の原因――例えば自分自身の理想と現実のギャップや、自分と親との関係など――が見えてくる。
真っ白な紙の真ん中に「なぜ子供に○○をやらせたいのか」、または「なぜ言うことをきかせたいのか」を書き、そこから放射状に思い当たる理由をできる限り書く。例えば「将来役立つと思うから」などだ。さらに、なぜそう思うのかを書いていこう。「自身の親にそう言われて育ったから」「こんな苦労をしたから」など、自分の心に眠る要因を冷静に見つめることができる。
自分を見つめれば、直面したくない過去が湧き上がることもあるだろう。嫌な気持ちになることもあるかもしれない。それでも、イライラし続けて子供の成長を妨げてしまうよりはマシ。「自分も成長中」「成長する私は偉い」と思いながら行ってほしい。「育てよう」という上から目線をやめて、一緒に成長しようというポジショニングが、子育ての際に肩の力を抜くポイントかもしれない。
「経験もないのに子育て本?」という疑いを見事に払拭してくれた本書。「DaiGoさん、恐れ入りました」なのだ。
文=奥みんす
本記事は「ダ・ヴィンチニュース」から提供を受けております。
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