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テレビ朝日系で18日(後9:00~11:06)放送の土曜ワイド劇場 特別企画『切り裂きジャックの告白~刑事 犬養隼人~』の主演俳優・沢村一樹と原作者・中山七里氏との対談が実現。今年48歳の誕生日を迎える沢村は、48歳でサラリーマンから小説家へ転向した中山氏に興味津々で…。
同ドラマで沢村一樹の相棒役を演じる瀬戸康史
■沢村「今年で48歳、還暦までに何ができるか…」
――原作者の中山さんは、2009年に『さよならドビュッシー』で『第8回このミステリーがすごい!大賞』を受賞し、48歳で小説家デビューされたとのことですが…。
【中山】このミス大賞の一報を電話で受けたんですが、いきなり夢がかなって、本人が一番驚いたというか、うれしさよりも怖さが勝っていたんですね。会社勤めを辞めて、もしデビューの話がポシャってしまったらもう立ち上がれないと思った。電話を切った後、ノートを開いて、3年計画を立てたんです。3年間に何冊本を出して、出版社と契約して、連載は何本持って…と。今の自分ではできない高い目標を立てて、それを達成するために努力しないと生き残れないと思いました。
【沢村】その3年計画を立てるのにどれぐらい時間がかかったのですか?
【中山】3分です(笑)。いままでは一介の読者として、デビューしては消えていく作家を山ほど見てきたので、同じ轍を踏まないように、いろいろ生き残るための施策を書き留めていたんです。
【沢村】そのノート、見せてほしいな~。3年間で、どれくらい達成できたんですか?
【中山】一応、全部ですね。まずとりかかったのは、デビュー作とは真逆の作品を書いて、バラエティー豊かな作品が書けますとアピールすることに必死でした。
【沢村】今年、48歳になるんですが、次に年男になる時は還暦なんですよね。あと12年で何ができるか、ちょうど考えていたところで。でも、この年齢で新しいことを始めるって相当、勇気がいることだと思いますし、中山さんも急に始めたわけじゃなく、子どもの頃からずっとやりたいと思っていて、その思いを実現できるチャンスをものにしたのが48歳だっただけ。僕が積み上げてきたものといえば、下ネタくらいですからね(笑)。
【中山】そんな、ご謙遜を。作品ごとに、さまざまなキャラクターを演じてきたキャリアがあるじゃないですか。私がいろんな小説を読んで滋養にしたのと同じように、俳優としてやってきたことはすべて財産になっていると思いますよ。
【沢村】年齢で守りに入っていちゃダメですね。
■中山氏「映像化できるものならやってみろ、と(笑)」
――さて、今回ドラマ化された『切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人』(角川文庫刊)は、かつて世界を震撼させた連続猟奇殺人犯“切り裂きジャック”を名乗る犯人による連続猟奇殺人事件に、捜査一課の敏腕刑事・犬養隼人が類まれなる洞察力で犯人を追い詰めていく、社会派ミステリー。沢村さんが犬養を演じてどう思われましたか?
【中山】びっくりしましたね。原作に忠実というと多少の語弊がありますが、原作がもっているテーマをわかりやすく提示して、犬養を体現してくれていたので原作者としてもうれしかったです。
【沢村】そうですか! よかったです。犬養は口数が少なく、感情の起伏があまりないフラットな男だったので、まぁ、難しかったですね。
【中山】もともと映像化を頭において書いていないですからね。むしろ、映像化できるものならやってみろ、それくらいの気持ちで書いています(笑)。ですから、『切り裂きジャック~』をドラマ化すると聞いて、一番驚いたのは多分私です。映像化を念頭において書くとつまんなくなる気がして、普段から映像化できないトリックやセンシティブな問題を含んだものを書こうと思っています。しかし、今回のドラマはよく出来ていて、テレビ局ってすごいなと思いました(笑)。沢村さんの新しい一面を見させていただいたようにも思います。
【沢村】今回は、臓器移植という現代的な問題を扱っていますしね。犬養の娘が肝臓病を患っていて、移植を待つレシピエントであるという設定も深い。同僚などから完璧に“嘘を見抜く”と恐れられている犬養のその能力は、シンプルですけど、刑事という職業にとっては強い武器。そういうキャラクターでいる自分をもう少し楽しみたいと思いましたね。原作はどれくらいあるんですか?
【中山】計画しているのを含めて4つです。
【沢村】あと5つ6つ書いてもらえると連続ドラマになるかな(笑)。半年に1回、年に1回はやってみたいと思いました。
【中山】わかりました(笑)。ネタはありますから。
【沢村】ぜひ、よろしくお願いします。中山さんの小説を知らない方にはこのドラマが本を読むきっかけになってほしいと思いますし、七里さんのファンにドラマも面白かった、よく映像化できたと太鼓判を押していただけたらうれしいですね。