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スタジオジブリの劇場版アニメ「かぐや姫の物語」(高畑勲監督)がきょう13日、「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)で午後7時56分からテレビ初放送される。「劇場で見なかった人にこそ見てほしい」と話す高畑監督に話を聞いた。
【写真特集】「かぐや姫の物語」のシーンも
「かぐや姫の物語」は、田舎の一軒家で媼(おうな)と2人暮らししていた竹取の翁(おきな)が竹やぶで仕事をしていると、1本の光る竹の中から神々しいお姫様を発見する。翁は手のひらに乗せて大切に連れ帰り、「姫」と呼んで育てる。さらに竹やぶから黄金や美しい着物が出てきて、翁は姫の生きる場所はこんな田舎ではなく都だと強く思い、3人で都に引っ越すことにする……という展開。
「繰り返して見たいと、たくさんの人に言われたのはこの作品が初めて」とうれしそうに話す高畑監督。だからこそテレビ放送を「公開時に『かぐや姫』の映画かと思って見なかった人に見てほしい」と話す。
「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999年公開)以来、14年ぶりに高畑監督が手がけた。スケッチのような手描き風の描線で余白を生かして描かれているのが特徴だが、高畑監督は「作画の田辺修さんと美術の男鹿和雄さんというずば抜けた才能の持ち主と組むことができたし、皆が一丸となって支えてくれたからこそ実現した作品」と胸を張る。
「『かぐや姫~」に限らないが、客観的に描くことを意識した。かぐや姫が本物(実物)とは思えない、描いたものと分かる。想像力のフィルターを通して(観客に)訴えている。この絵の裏側にある本物を感じてください、と。見る側も物語の“裏側”を読み取ろう、読み取ろうとして能動的になるような作品を目指した」と話す。
そして「世界の趨勢(すうせい)が立体(3D)に向かっている。追いつけ追い越せという考えもあって当然だし、否定するものではないけれど……」と前置きした上で、「作り手には平面に活路を見いだしてほしいし、皆が持っている、描いたものの裏側にある“本物”を想像する力を信頼してほしい。平面を続けていってほしい」と日本のアニメーション業界の未来を担うクリエーターたちにエールを送る。
「かぐや姫の物語」は第87回米国アカデミー賞の長編アニメーション映画部門にもノミネートされ、先月米ロサンゼルス行われた授賞式にも赴いた高畑監督。惜しくも受賞は逃したが「エンターテインメントとして築き上げる底力の大きさを感じた。大変関心しました。(現地に)行ってみないと分からないですね」と興奮気味に振り返った。次回作の構想については「あるにはあります。実現するかしないかの問題だけれど、しなかったらしょうがないし、幸運にも実現できたらうれしい。ないわけではないとだけ言っておきます」と含みを持たせた。
<プロフィル>
たかはた・いさお 1935年10月29日生まれ、三重県出身。東映動画(現・東映アニメーション)に入社し、63年にテレビアニメ「狼少年ケン」で初めて演出を手がける。68年の「太陽の王子 ホルスの大冒険」で劇場版アニメの監督デビューを果たす。その後、同僚だった宮崎駿監督とテレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」(74年)、「母をたずねて三千里」(76年)などの演出、監督を担当。宮崎監督の「風の谷のナウシカ」(84年)のプロデューサーを務め、スタジオジブリの設立に参加。「火垂るの墓」(88年)がスタジオジブリでの初監督作となる。今作は「ホーホケキョ となりの山田くん」(99年)以来、14年ぶりの監督作。