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326が作り出す漫才版の19

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326が作り出す漫才版の19

326が作り出す漫才版の19

 

かつて19のメンバーとして一世を風靡した326。前回は過去の活動について話を聞いたが、後編は現在の326の活動について。

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-過去には数十万部のベストセラーも生み出した326さんですが、自分の言葉が世間を動かす感覚というのはどういったものですか?

326
小学校くらいの時から、あまりやっていることが変わってなくて、格言とか、教訓みたいなのをずっと自分で考えてたんです。だから、何かが変わったワケでもないし、世の中に認められただけであってそれ以上のモノは手にしてはないと思いました。本を出しやすくなったとか、表現をしやすくなったのは良かったけど、悪かった面でいうと、若すぎたってところがスゴく問題で、19の頃がまだ20歳前後なので、若いと聞いてくれないんですよね、どうしても。

-言葉に重みがないと思われる?

326
いまと言ってる内容は全く一緒なんですよ。だからおんなじ料理を出してるのに、店構えというか、それで評価されて正当に取り扱ってもらえないとか、年齢と中身のギャップみたいなのもスゴイ感じてしまって、そのやりづらさはありましたね。

-いまのファンのかたは、19時代からのファンですか?

326
いや、そういう人は3割ぐらいなんじゃないですかね。2割くらいかな…。さっき話した出産の本とかは学校の先生が何かの授業で使ってくれてそれを見てファンになったとか、あと教科書に使われたり、図書館で読んだとか、親の影響とか…。ボクのファンって上の年代だけが全くいなくって、下は結構いますね。サイン会とかも子どもにせがまれて来るっていうお母さんとかお父さんとかいるので。あ!「リア充」みたいな人はいないですね。たぶん言葉とか、本とかを欲してないんでしょうね。自分の人生がメッセージであふれてるのか、とにかく何も欲しいものがないっていう状況で生きてるのか、そういう人は来ないですね。だから、予備校生はきっとファンにいるけど、大学生はいないって感覚。何となくそういう線引きはあるかもしれないです。みんな何かを必要としてるんじゃないですか?宗教みたいなもんです、本って。

-そうですね。確かに。

326
ボクは神様になってもしょうがないので、本というモノの、価値と、できることとできないこともちゃんと書こうと思って、最新の作品集も冒頭のページで、「言葉は何もしてくれない。言葉で強くなった君が何かをするんだ」って言葉から始まるんですけど、その本自体で、いろんな力を得たり、いろんな考えを得たり、あなた自身が成長してくれて、何か変化してくれるのは嬉しいけどその本が札束に変わったり、本があなたの身を守ったりするワケじゃないよって。所詮、本は本で、その入り口のカギにしかならなくて、後はあなたが何をするか。その扉の開いた先で、どう動くかってのは全部あなたなんだからね。ってことを、認めてしまってる本なので。だからこそ、言葉や本は素敵だよねって言ってるんで、だから無理なことは無理。できることはできる、と言い切っちゃいます。

-326さんの達観したというか、その使い捨てでもいいみたいな感覚は初期からあったんですか?

326
あります。だから、ボクの言葉をパクって作品にしてるような人もいたんですよ。プロって言われて世の中出てる人で。それでさえ、もういいかと思ってました。逆に真似してるって言われたことさえあったんですよ。でも、それ言われても別にいいかなとも思うし。中村満って本名なんですけど、「言葉」を書こうと思ったのも絵を描いた時に、スペースを埋めるために言葉を書いただけなんです。絵で全部埋めたらキツイから。そしたら、評価された後に、相田みつをさんのブームみたいなのが来て、「相田みつをの真似だ」って言われて、でもその時は相田みつをさんを知らなかったんです。でも名前が似てるのもあって、パクリだって言われ。知らないものパクれないんだけどなって思って、まあ、ちょっと大変な時期ありましたね。

-326さんの作品制作のポリシーはありますか?

326
例えば、妊娠・出産の本がすごく売れてくれた時も、妊娠だったり、出産だったり、育児だったりをものすごく勉強して色んな人にお会いしに行ったりして、で、外堀から埋めていって何かが隙間から抜けるような状態じゃないようにしてその上で、ちょっと奇想天外な、今までのスゴイ医学的な知識って、何だったんだってくらいふざけたことを逆にやったんです。結構誤解されやすいんですが、間違って売れちゃったらめっちゃ困るんですね。だから、例えば「ラッスンゴレライ」が、すごい流行って、ボクも一応見ておこうと思って見て、ヤバイ本当にわからない、って思って。だけど、言いたくなるかどうか?って言われたら、言いたくはなる。で、その、言いたくなるところは、「ちょっと待って、ちょっと待って」のとこだなと思って、ひとつ煌めく場所があるから全体がオモシロイとか笑えるとかを言うべきじゃないと思えるんです。これはもう、言いたくなるとかやりたくなるってところで勝利なんだと。オモシロさを求めて、その物差しで計ろうとしてる大人がもう負けなんだと思って「ああ、こういうモノが受け入れられる世の中になったんだな。オモシロイ」って風に位置づけしました。で、じゃあ、ボクが作れるか?って言ったら、全く作れないです。だからポリシーって言うよりは、分析癖があります。今、漫才を書いてるんです、自分で漫才のプロデュースをしているので。

-それは既存の芸人さんに?

326
着ぐるみをデザインしまして、その着ぐるみに入る2人組を「じょ~く」って名前にして、まっ19からきてるんですけど、この名前を付けられるのはオレだけだと思って(笑)。「じょ~く」って2人組の着ぐるみにして、今まで着ぐるみ系のタレントさんは一杯いるけど、着ぐるみ漫才師は今までいなかったので、もう、完全に漫才師にしようと思って、で、今、漫才の脚本を書いてます。

-それは素人さんから引っ張ってきた方なんですか?

326
面白くはあるけど、今すぐブレイクするってのはちょっと難しそうな、そんな、苦労してるお笑い芸人を選びました。オーディションして、手法は音楽と全くおんなじです。で、君たちもできれば脚本書いてきて、って、オレも書くね、って。まあプロデューサーみたいなもんです。

-事務所は一緒なんですか?

326
所属してもらいました、タイタンに。オーディションしたいから、売れてない芸人を集めてくれって言って、ピン芸人がいいって集めて。ボクはだから、プロレスのプロモーターみたいな感覚で、「お前、今からマスクマン」って、三沢光晴を2代目タイガーマスクにするような感覚で、「君たち、マスクマン。もし、その中で人気になって、そっから、ピンで、マスクを脱ぎたくなったら、脱いでもいいよ」って。別にそこはオレ束縛しないからって。今回も、漫才に対して失礼なことはしたくないから、まぁ~勉強しましたね。見るし、文字起こしするし、漫才ってなんぞやって。結構難しいなと思ってたんですが、書き始めたら、意外とオモシロかったんですよ。内容がオモシロイじゃなくて、書くことがオモシロイと思ったんです。あっ、これ、オレ向いてるわって思って、前とおんなじで、メッセージをネタに仕込んで、ボクが出る必要ないや、だから19やってた時と全くおんなじ感覚です。

-じゃあ、19の漫才版みたいな感じですね?

326
ホントにそんな感じです。何か早く自分の事務所に還元したくて。あまりにも事務所がボクに対してメリットがあることばっかりするもんだから、もうイヤになってきて、ちょっと、もうちょっとオレにも、事務所に、少なくとも、まずお金だけでも入れたいと思って、何かやれることないかなって…ああ、じゃあお笑いの事務所なんだから、お笑いの漫才師を、今までにない漫才師を作るキッカケをオレがやりたいっつって、で、やらせてもらいました。

-「じょ~く」を今年頑張るんですね。

326
今年、頑張っていきたいですね。やっとまだ去年の年末に形になって、今年の初めに、初めて人前で漫才をやったくらいなんで、まだ、産声をあげたばかり。2~3年ぐらいでは売れたいですね。

-漫才を勉強する中で、誰か注目の漫才師はいましたか?

326
この間の「THE MANZAI」の博多華丸・大吉さんのはホントに勉強になりましたね。漫才ってやっぱり、2人が喋べくりするんだよねってこと。たたみかけるようにどんどんネタをやるってのもひとつのやり方なんでしょうけど、あの2人のやり方ってゆっくりとした「間」で、ただ九州の居酒屋にいるおっちゃんが喋ってそうな感じなんです。そういう2人組がみんなの前でオモシロイ話をしますよ、っていうところがいいですよね。自分でも漫才を作る中で研究をしていて、時代がそういう流れにきてると思っていたところだったので、華丸・大吉さんが優勝してくれて「ああ、やっぱり」と思いました。「じょ~く」の方向性、間違ってなかったよねって。ショートコントになっちゃう漫才はあんまり好きじゃないんです。じゃあ、お店やるからお前床屋さんやって、ってショートコントじゃないですか?で、真ん中にマイクがあれば、漫才、って好きじゃないなって思って。喋ってる中で「ああ、そうか」「ほうじゃろう」って感じの、そのへんのオモシロさを、ちゃんと突き詰めていきたい。着ぐるみってことで、その着ぐるみのかわいらしさだけを売りにするんじゃなくて、どう見てもクマだから「冬は眠いわ」って言うだけでも、人間が言うより、「クマだからね」ってなるじゃないですか?そういう風な、動物であることをネタにしたり、「ああ…中暑い」って言ってみたり、キグルミキャラなんだから中が暑いって言っちゃダメだよね、ってとこだったり、キグルミということで武器が増えるはずなんで、そういう要素というか、外見がおもしろくていじってもらうのと一緒ですけど、そういう風にやれたら一番オモシロイのかなっていうのはあります。

-326さんのキャラだけで売るわけではないと。

326
そうです。だから、どんどん営業して、どんどん現場を経験してもらって、どんどん喋りが、瞬間の返しが出来るように、そのためにも、ちゃんと自分達の声で漫才してもらう、そこに意味があった。だからすでに活動しているお笑い芸人をオーディションして、中に入れました。マスクとキャラクターは存在するから、中の人をドンドン変えるって考え方もあるよなって思ってます。今の二人は元々ピン芸人なので二人での漫才っていうのはまだ慣れてないみたいで…。だから中々、これだ!っていう漫才もまだ上がってこないです。

-そうなると、ちょっと歯がゆい部分も。

326
ボクね、ひとりでやってる絵本とか、作品集とかはだいたい失敗しないんですよ。納得のいくモノになるんです。常に高得点を取れる。でも、チームプレイで何かやる時って思いもしない、自分だと100点以上取れないのに、チームプレイだと300点取れる時があるんです。

-まさに19ですね。

326
いや、もう、めちゃめちゃ参考にしてます。過去の自分の活動を参考にしてますもん。

-普通に考えたら、もう一度バンドとなりそうですが。

326
音楽もう1回やっても正直いいんですけど、そこまでモチベーションがない。心がやりたいと思ってないことって、多分特別な力出ないんですよ。漫才の方が特別な力が出る気がしてオモシロイです。あと、新作の発表の場が漫才のほうが圧倒的に多い。

-最後になりますが、今後、326さんが活動をしていく中で大切にしたいことを聞かせて下さい。

326
政治で世の中を変えることも大事だけど、作品とか創作物で子どもの気持ちを優しくしたり、知的な大人にしていくことで日本を変えること、世界を変えていくことはできるんだと思っていて、政治家になるよりそっちの方が手っ取り早いやってスゴイ思ってるんです。

-作品で世界を変える?

326
うん。ボクはこんなことしないよ。ボクはもっと優しくするんだ~って、子供が思ってくれたりね。政治家でルールを作ってもなかなか変わらないし、その政治家さんたちが、もうルール守ってるかわかんないっしょ?だから、政治家が悪いとは思わないですけど、今のまま、ダイレクトに子どもたちとかママに、いい考え方を教えてあげる方が、世界を変える近道だとボクは思うんで、作品で世界を変えた方が手っ取り早いと思ってます。ルールを変えるよりも、考え方とか、モラル…っていうとちょっと違うんだよな~…昔、19が歌で若者を感動させたり、夢に向かって頑張ろうと思っていただいたりとかって風に変えられたと思うんです。今、ちょっと年齢が下がってそれを子どもに素敵な考え方とかを、芽生えさせるキッカケになったり、ママに子どものことかわいいって思って貰えるキッカケとか、そういう世の中のために何かできてるってホントにありがたいもので、手料理振る舞うと近くの人にしか振る舞えないんですけど、作品って、時空を越えたりとかするじゃないですか?時空とか時間とか距離とか。いろんなモノを越えるんで、そう思うと、ありがたいことやらせてもらってるなって思います。

-テレビへの出方も変わりそうですね。19の話、お金の話はやり尽くしましたもんね。

326
そんなん本当はオモシロクないですもん。全然、過去のこととか振り返らないし、全然気にしないんだけど…見ている人には「またその話?」って言われるんで、いや、オレ、全然言いたいワケじゃないからって言いたいですよ。

-326が目立ちたいから言っているみたいに映りますもんね。

326
テレビのギャラって、時給で考えたら書く仕事の1/10以下のギャラなんで、だいたい(笑)。だから、本当はやる意味ないんです。いま出させて頂いているのも、NHKさんやTBSさんなど過去に恩を感じている局ばかりなので。

-文化人枠ですもんね。

326
一番安いです(笑)。だから、今が一番いいバランスで、たまに呼んでもらって、信頼してる人に呼んでもらって、例えば有吉さんとか、爆笑問題さんとかね。信用してるというか、尊敬している人に呼ばれる時だったら、皆さんとスタジオで喋れるってことが優先でってのはあるでしょうね。喋れるんだ、嬉しいって。

-これからも変わらず326としての活動は続いていく。

326
はい!

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