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百貨店やホテル、美術館、展望台、オフィスなど複合機能が詰まった大阪市阿倍野区にある日本一の超高層複合ビル「あべのハルカス」が7日、開業から1周年を迎えた。天王寺・あべのエリアに高さ300メートルの都市型ビルができ、周辺の街はがらりと変貌を遂げた。一方で、売り上げの大半を占める近鉄百貨店の売り上げが苦戦しているとも言われているが、展望台の入場者数やホテルの客室稼働率、オフィス入居率などは順調の様子。1年を迎えたハルカスのこの1年と今後の課題を関係者に聞いてみた。
課題はいろいろも、独自イベントで巻き返し図る
[写真]スッキリしない天気だが、開店時から多くの客でにぎわいをみせたあべのハルカス=7日午前11時ごろ、大阪市内で
7日に1周年を迎えたあべのハルカス。同日午前10時には近鉄百貨店が開店。開店前から行列もできるなどにぎわいを見せ、店内は祝福ムードに包まれている。
一方で、近鉄百貨店本店の2015年2月期(2014年3月~2015年2月)の売上高は1130億円程度にとどまるようだ。当初の目標を大きく下回り、昨年8月には大幅下方修正した1170億円の到達も難しそう。これは若い女性向けの専門店街「ソラハ」や地下の食料品売り場が伸び悩んでいることなどが言われる。だが1周年を迎え、独自のイベントでさらなる巻き返しをはかる。
「1年間の売り上げなどは4月に発表されますが、11月末までの売り上げは若干下回っており、課題はいろいろあると思います」(近鉄百貨店総務本部・秘書広報部、田中英行課長)
だが、周辺にはあべのキューズモールもあり、20~30代の若い世代が増加傾向にあるという。田中課長は「百貨店全体としても、子育ての若い層やファミリー層、さらにはホテルの外国人宿泊客の増加に伴い、外国人客も増えています。地元の方に来て頂くのはもちろんですが、遠くから新しく来て頂いて、それを固定客にする仕掛けをやっていく。何度も足を運んで欲しいと思いますし、幸い、あべのハルカスは買い物以外にも楽しめますから」と話している。
展望台は盛況、いちばんのピークで5~6時間待ち
[写真]日本一の超高層ビルからの眺めは子どもにも大人気。通天閣や動物園も手にとって見える感じだ
あべのハルカス事業本部・事業部、能美慎次郎課長は、1年を振り返ってこう話す。「たくさん人が来られたな、というのが、まず正直な感想です。特に昨年のGW時の展望台(ハルカス300)はすごかったですね」と1年前の開業当時を振り返る。
「長蛇の列で。2階で当日券を買って頂いて、16階でエレベーターに乗り換えて、展望台に上がる形になるんですけども、チケット売り場も16階のエレベーター乗り場も、両方長い列ができて。当日の整理券を配ったんですが、いちばんのピークで5、6時間待ちの状況でした。5月の連休に出勤した時、これだけ多くの人がいるのかって、正直、驚きました(笑)」と続けた。
集客コンテンツとして大成功を収めたわけだが、高さ約300メートルからの景色を満喫できる「ハルカス300」は、気候条件がよければ、界隈のビル群をはじめ、京都から六甲山系、明石海峡大橋、淡路島、生駒山系、さらには関西国際空港、八尾空港、神戸空港、大阪(伊丹)空港まで、広大な景色を一望できるのが売りだ。
58階には「天空庭園」(上空まで吹き抜け構造、屋外広場)、カフェダイニングなどもあり、60階は「天上回廊」(東西南北360度ガラスを配した屋内回廊)となっている。展望台へ行くエレベーター(ハルカスシャトル)は景色が見えない造りで、最上階の60階に降り立ってはじめて、開放感に満たされるという。「展望台で一度アンケートを取ったことがあるんです。その時、全都道府県の方が1日で来られてたんですよ。1日だけで、全都道府県の方が来られているなんて、ビックリしました。お客様からは日本一高いビルということで、開放的とか、心が洗われる、というような言葉をよく聞きますね」
また、忘れられないエピソードとして、能美課長はこう語った。「昨年4月18日に、安倍晋三首相がお見えになったんです。そりゃすごかったですよ。“あべのべあ”というクマのキャラクターがいるんですけど、上から読んでも下から読んでもあべのべあなんです。それが出た時に、首相が『あべで、ベースアップのベアか、あべのべあで良い名前だね』ということでお越しになったんです。印象深い思い出になってますね」と振り返った。
ハルカスだけでなく「ターミナル」活性化を
[写真]人気テレビ番組とのコラボで売り場は大にぎわい
開業1周年を記念し、6~8日の3日間、「あべのハルカス1周年 花咲く誕生祭」と題したイベントを行う。高さ300メートルにちなんだ300個の「オリジナルバースデーケーキ」を披露したり、イベント期間中は地域とも連携し、300個のバースデーケーキと300本の賞品が当たる「バースデーカードラリー」を実施する。
「バースデーケーキはハルカス1周年と言うことで、300個のケーキを作りまして、それを3日間、展示する。展示ができる素材で作るケーキなんですが、それとは別に300個の食用のケーキを用意します。これはカードラリーと言いまして、エリアをいくつか分け、その商店街さんでお買い物をして頂くと、抽選に参加できる権利を得られるというものです」(能美課長)
百貨店だけでなく、ハルカス周辺の商店街や新宿ごちそうビル、キューズモール、アポロビルなどの商業施設で買い物をしてラリーに参加する。「グランドオープンの時も街巡りカードラリーというのをやりました。街をいろいろと回って頂こうというのが狙い。メッセージ付きのパインアメを配ったりしてアピールしています」ファミリーコンサートや地元の幼稚園児を招いて「ハッピーバースデー」を歌ってもらうなど、イベント内容も多岐にわたる。
能美課長は「ハルカスだけでどうこうと言うのではなくて、ターミナルを活性化させていきたい」と意気込みをみせる。ハルカスだけでは、やがて限界がくる。エリア全体を盛り上げることで、自然とハルカスも盛り上がる。今後の課題としては「エリア全体」の活性化を目指すとともに、計画的に「にぎわい」を作り、イベントを継続してやっていくことがカギだという。
1周年に地元住民の反応は? 通天閣「ともに盛り上げたい」
[写真]ともに展望台を持つ通天閣とあべのハルカス(中央右下)はご近所同士
周辺地域住民からも「もう1周年なのか」という声が多く聞かれる。ハルカスのそばにある飲食店店主は「ハルカスが出来てから、従業員の人らが毎日ランチを食べにきてくれるようになった。もちろん昔もそうだったかもしれないが、明らかにウチのお客さんが増えた。いや、ほかの店も同じ。だから、これからも互いに盛り上がっていきたい」と話す。
また、近くに住むという主婦(32)は「ハルカスが出来るから近くにある新築マンションに引っ越してきた。だから、もう思い入れもあって。元々住んでいる方に聞くと、一気に若い住民も増えたそうやし。なんか新しいものを一緒に作っていける感覚がうれしいですね」と話していた。
一方ハルカスとは近所で「展望台」の良きライバルにもあたる、なにわのシンボル「通天閣」の高井隆光副社長は「初年度というのはぎょうさん人が来る時ですが、次年度からは大変。通天閣は次年度からは初年度を超えることはなかったんですが、ハルカスさんはPRや情報発信に努めてはりますね」と話す。
また「おめでとうという気持ちもあるし、新しいランドマークであるハルカスさんと、歴史が深い通天閣とで、今後も『あべの』『天王寺』『新世界』を結ぶ『ゴールデンベルト』をともに盛り上げていきたいですね」と力強く語った。
2年目の「あべのハルカス」がどのように進み地元エリアをはじめ、大阪を盛り上げていくのか。今後の動きが注目される。
(文責/フリーライター・北代靖典)
地図URL:http://map.yahoo.co.jp/maps?lat=34.64605400000003&lon=135.51332910000002&z=14
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