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機器修理 依頼主の声大事に

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機器修理 依頼主の声大事に

 機器修理 依頼主の声大事に

 亡き父親からの贈り物の8ミリビデオカメラ、愛犬のようにかわいがっている家庭用犬型ロボット――。

  「ア・ファン~匠工房~」(千葉県)には、持ち主の思い入れのこもった電気・電子機器の修理依頼が相次ぎ、3~4か月待ちだ。機器の販売が終わってから、一定期間が過ぎると、メーカーが修理の受け付けを終了するためだ。「1台1台に特別の思いが詰まっている。直すのは、単なるモノではない」。社長の乗松伸幸さん(59)は、そんな姿勢で修理と向き合っている。

  自ら電話やメールで依頼を受ける。依頼主に満足してもらえるよう、望んでいるのが何か、最初によく聞き出すよう心がけている。

  例えば、ビデオカメラの修理依頼。再生と録画の両方が故障していても、依頼主の要望が「結婚式の映像をもう一度見られればいい」ということだと分かれば、再生機能の修理のみ提案する。依頼主に無駄な出費をさせないためだ。

  修理は、関東から中国、四国地方にかけて住む10人の技術者と手分けする。有名メーカーの退職者たちだ。

  自らも自宅マンションの一室を修理工房にし、ハンダゴテやドライバーなどを手に作業する。修理する機械の全体が見えるように作業机の向こうには鏡が立てかけてある。「退職後も社会に貢献したいと、みんな意気込んでいます」

  必要な部品はインターネットで探し、海外まで問い合わせることも。「様々な手を使って修理できた時の達成感が新たな原動力になる」。専門業者に部品の製作を依頼することもある。

  大学卒業後、家電メーカーでアフターサービスに携わった。一定期間を経ると、修理の受け付けができないことに、申し訳なさを感じた。体調を崩して手術したのを機に、「やりたいことをやろう」と、55歳で早期退職し、会社を設立。かつて部下だった技術者に声をかけ、事業を始めた。

  「メーカーにいた者として、製品に最後まで責任を持ちたい」。これからも、依頼主の声に耳を傾ける。(西内高志)

 【休日】再びシングル目指し

  •   「達成感を味わえる趣味」として、ゴルフを続けている。アマチュアの大会に出場するなど、スポーツとして本格的に取り組んでおり、現在のハンディキャップは「11」。1年半ほど前には1ケタの「7」まで行った。

      多い時は月に6、7回は千葉県内のゴルフ場に出かける。「どんなに仕事が忙しくても、少なくとも週に1回は行きたい」。昨年まで2年間、よく通うゴルフ場の利用者で作る同好会の会長も務めた。

      昨年11月には、アマチュアの大会「関東アンダーハンディキャップゴルフ選手権男子Aクラス」(関東ゴルフ連盟主催)で優勝した。

      ゴルフを本格的に始めたのは、インドに駐在していた40歳前後。50代で手術をしてから、仕事だけでなくゴルフも徹底的にやろうと決めたという。「また、1ケタ台のハンディキャップシングルを達成したい」と意気込む。

     
    【道具】ネットで各地の技術者と会議

    •   事務所兼修理工房となっている自宅マンションの一室。机を囲むようにして並ぶパソコン1台とモニター3台=写真=は、各地に散らばった技術者との日々の打ち合わせに欠かせない。

        インターネットを通じたテレビ電話「スカイプ」を使い、同時に3~4人の技術者とミーティングすることもある。

        技術者によって得意な機器が違うことから、修理方法について助言しあう。作業の割り振りが偏ってしまい、遅れが出れば、技術者間で融通し合ったりもするという。

        画像データなどのデジタル情報をネット上に保存しておけるクラウドサービスも活用。特殊な電子機器の修理方法を説明した動画を保存し、技術者がいつでも参考にできるようにしている。「インターネットを駆使することで、各地の人材を有効活用でき、在宅勤務も可能になる」と話す。

      のりまつ・のぶゆき

       1955年、愛媛県生まれ。福岡工業大学卒業。79年にソニー入社。クウェートやインドなどの海外勤務を経て、修理部品を供給する担当課長や、子会社の部長を歴任。2010年に早期退職して、翌年、「ア・ファン~匠工房~」設立。

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