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起業一念「日越の懸け橋に」…難民家族のチャンさん

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起業一念「日越の懸け橋に」…難民家族のチャンさん

起業一念「日越の懸け橋に」…難民家族のチャンさん 
  • 「将来はベトナムと日本の懸け橋になりたい」と夢を語るチャンさん(西宮市の関西学院大で)
  •   ベトナムから日本に逃れたインドシナ難民の家族で、明石市在住の関西学院大国際学部4年・ドアン・ティ・チャンさん(25)が1月、ベトナムと日本の企業進出支援や輸出入のコンサルティングを行う会社を設立した。

      「両国の発展のための懸け橋になりたい」と意気込んでいる。

      チャンさんはベトナム生まれ。父親はベトナム戦争終結後、1990年代に日本に移住し、定住が認められた。チャンさんは16歳の時、母や姉とともに日本に呼び寄せられ、難民定住者となった。

      日本語を学び、明石市内の高校を卒業後、難民を対象にした推薦入試制度を設けている関西学院大に進んだ。英語や中国語を学びつつ、会計や簿記などの専門知識を習得した。

      転機が訪れたのは、3年生だった2013年12月。ゼミの教授が関わる研究センターの通訳アシスタントとして、日本企業のベトナム視察に同行した。現地で「ベトナムには資源があるのに、設備不足や技術水準の低さから活用しきれていない」と痛感し、「自分の知識を役立てたい」と思い立った。

      ベトナムに進出した日系企業などにもヒアリング。現地には日本の機械を修理できる技術者がおらず、修理のために、わざわざ技師を日本から呼び寄せている現状も知った。

      一時は民間企業に就職して経験を積むことも考えたが、「自分のやりたいことに注力したい」と起業を決意。通訳のアルバイト収入で資本金を捻出し、明石市魚住町の自宅に事務所を構え、株式会社「THY TRANG(ティ・チャン)」を設立した。

      主な業務は、商品を日本に輸出したいベトナム企業と輸入したい日本の企業のコーディネートや、日本に進出したいベトナム企業のための市場調査、設立手続きに伴う日本語のサポートなど。

      起業から半月ほどで、日本製の商品を取り扱いたいと考えるベトナム人や、商品の輸出を検討しているベトナム企業などから5件ほど問い合わせがあったという。

      チャンさんは「いつかは、ベトナムに専門分野も学べる日本語学校をつくり、優秀な人材を派遣できるような環境も整えたい。日本に来て多くの人に支えられた。日本に恩返しするとともに、母国の役にも立てられたら」と話している。(上野綾香)

      インドシナ難民 1975年のベトナム戦争終結に伴ってベトナム、ラオス、カンボジアの政治体制の変革から逃れた難民と、その後、呼び寄せられた家族。国は78年に定住を認める方針を決定。2005年までに、計約1万1300人に定住許可を出した。

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