政治そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
いまだ多くの人々が仮設住宅で暮らすなど東日本大震災の爪あとが残る福島。
しかし、そんな暗いムードを払拭(ふっしょく)しようとしているのが、白河市のヒーロー・ダルライザー、いわき市のヒーロー・ジャンガラー、相双(そうそう)地区のヒーロー・ディネードの3名だ。
前回の対談記事(こちらを参照→http://wpb.shueisha.co.jp/2015/03/12/44898/)では震災直後に抱えた苦悩を明かしたが、彼らが掲げる福島の“これから”とは?
* * *
―震災から今年で4年目になります。ヒーローの皆さんから見て、福島に住む人たちに何か変化はありましたか?
ジャンガラー(以下、ジャン) う~ん。どうでしょう。
ディネード(以下、ディネ) 今でもたまに他県の人から「大変でしょう?」って心配されることがあるんですが、ピンとこないですね。僕らは震災前と変わらずに生活していますし。だけど、それでも気持ちが後ろ向きになっている方々がいるのも確かなんですね。そこがヒーローの活動をしている時にちょっと難しいかなって感じるところではあります。目いっぱい動き回る僕らを見て、「見ていると疲れる」と感じている人はいるでしょうし。
ダルライザー(以下、ダル) 行動的でポジティブな人は、震災によって職や家を失ってもすぐに仮設住宅から出て、市内にアパートを借りたりして新しい職場で頑張っています。でも、どうしても気持ちが前向きにならない方もいるんですよね。
ジャン そうですね。国からお金は出ていて生活に不安はないけれど、新しいことにチャレンジしようという意欲が今ひとつわかないというのかな。
ディネ だから、諦めムードが漂っている人たちになんとかヒーローショーを通して前向きに立ち上がる勇気を持ってほしいと奮闘しているわけです。
ダル 過去は変えられません。でも、未来は変えられる。ヒーロー活動によって、まちの活性化に少しでもつながれば、明るい未来が見えるのではないかと思っています。
そもそも、まちの活性化も復興もやることは同じなんです。震災から1年くらいは「復興のために」と思っていましたが、肩にヘンな力が入ります。そうじゃなく、今までどおりのご当地ヒーローとしての活動を真摯(しんし)に続けていけばいいんだなって最近になって思うようになりました。
ジャン 同感です。私たち福島のヒーローは全国各地に出張して、福島の名産品を「安全でおいしいですよ」と宣伝する活動もしています。それで「風評被害と戦っている」というイメージを持っている人もいるかもしれません。確かにそういった面もあるのですが、私はあくまでヒーローショーを通して、いわきの観光PRをしているだけなんです。いわきにはこんな観光施設やおいしいものがありますから遊びに来てくださいってことです。
ディネ そもそも、風評被害は自分たちがつくっている側面もあると思います。どうせ福島のものは食べてもらえないんじゃないかと、それこそ諦めムードを出しちゃってる。でも、ちゃんと検査を通っていますと説明すると、他県の人たちは喜んで食べてくれますし、僕らも別に福島から来たといってもイヤがられたことはありません。
ダル 繰り返しになりますが、過去は変えられなくても、今を生きている瞬間のなかで自分なりに頑張ることができたら、きっと未来は変えられる。そう信じています。
ディネ そうですね。そのメッセージをひとりでも多くの人に伝えるために僕らはヒーローになったのかもしれません。
ダル 僕らは、復興の手助けをしているつもりはありません。“元に戻す”のではなく、“前へ進む”。そんな気持ちで活動しています。
●ダルライザー
2009年、白河の名産「白河だるま」をモチーフに誕生した福島ヒーローの先駆者。白河商工会議所青年部が制作。名前には「ダルマ(ダル)のように、転んでも起き上がれ(ライズ)」というメッセージが込められている
●ジャンガラー
2010年に誕生した。模型製作、イベント企画などを取り扱う会社「川島工房」と、いわき青年会議所が共同で制作。コスチュームは「シーラカンス」と、いわきの伝統芸能「じゃんがら念仏踊り」をモチーフにデザインされた
●ディネード
2012年誕生。名前は「負けるんじゃないぞ!」を意味する相双地区の方言「負けるんでぃねーど」が由来。コスチュームのデザインは子供たちから募集、約500案の応募の中から選考に残ったふたつを組み合わせた
(取材・文/佐々木 徹 撮影/髙橋定敬)