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有村智恵が下部ツアーからチャンスをつかむ
米LPGAツアーの下部ツアー、シメトラツアーが開幕した。2月はアリゾナ州とカリフォルニア州の西海岸で2戦、3月末に舞台をフロリダに移し、昨季より3試合増えて今年は全部で23試合が予定されている。以前はフューチャーズツアーという名前で知られていたが、2012年より“シメトラ”という保険などを扱う金融機関がスポンサーとなり現在の名称となった。
試合の多くは3日間大会だが、4日間やシニアのレジェンドツアーと共催の大会もある。大きなスポンサーがついたとはいえ、やはり下部ツアー、環境はなかなか過酷だ。米LPGA ツアーのような選手向けのホスピタリティーはなく、キャディをつけずにセルフバッグを担いで回る選手も少なくない。もちろん賞金も比べものにならず、西海岸シリーズでは優勝賞金が1万5000ドル(約180万円)だった。
それでもこのシメトラツアーの年間賞金ランキングで10位以内に入れば翌年の米LPGA ツアーの出場権を得られるので、登竜門としての役割は大きい。
ここで必死に復活への道を探るのは、米ツアー3年目の有村智恵だ。昨年、いわゆるシード権を獲得できず、出場優先順位がかなり低い。「何としても米ツアーでプレーしたい。そのためにはマンデー、下部ツアーも視野に入れている」と昨秋話していたが、その覚悟は本物で、1月は米LPGA ツアーの2試合にマンデークォリファイから挑戦した。結果は本戦出場ならず、2月はこのシメトラツアーの2試合に出場、52位、9位とまずまずの成績を出した。日本ツアーのシードを保持する有村だが、その期限は今年いっぱい。開幕戦のダイキンオーキッドレディスには出場したが、その後は再び渡米して米国で踏ん張るつもりだ。
ちなみにこの下部ツアーから米LPGAツアーに昇格して活躍する選手はたくさんいる。古くはローラ・デービース、クリスティ・カー、そしてロレーナ・オチョアも02 年にはこの下部ツアーをルーキーで戦い、新人賞と最優秀選手賞を獲得している。
今季の開幕戦、アリゾナ州メサで開催されたゲートウェイ・クラシックを制したのは16歳の高校生、ハンナ・オズリバン。1995年にカーが17歳で樹立した同ツアーの最年少優勝記録を塗り替えた。こうして日々新星が登場する下部ツアーが、米女子ツアーの層の厚さを支えている。有村がここで自信を取り戻すことができるか、今年はシメトラツアーにも注目したい。
文・武川玲子
週刊パーゴルフ(2015年3月24日号)掲載
武川玲子(たけかわ・れいこ)
大阪府出身。米国を拠点に、米PGAツアーと米LPGAツアーを中心に精力的な取材活動を続けている。ParOn.だけでなく週刊パーゴルフでもコラム等を執筆中!
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