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著名アーティストから大学院生まで。神出鬼没で多彩なアーティスト集団phono/graphインタビュー

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著名アーティストから大学院生まで。神出鬼没で多彩なアーティスト集団phono/graphインタビュー

著名アーティストから大学院生まで。神出鬼没で多彩なアーティスト集団phono/graphインタビュー

 

2011年、大阪での展覧会をきっかけとして始まった、アート / デザインプロジェクト「phono/graph」。専門領域も世代も異なる、多彩なメンバーがずらり参加していて面白い。

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1980年代から「音」に着目して、国内外で活躍しているアーティストの藤本由紀夫。メディアにとらわれず活躍する八木良太は、先日、神奈川県民ホールギャラリーでの大規模な個展を見事に成功させたばかり。京都を拠点に活躍するsoftpadは、グラフィックも展覧会もクラブイベントもこなす7人ユニット。他にも、グラフィックデザイナーあり、音響学に通じる者あり、大学院生あり。

そんな面々が寄り集まって、「音、文字、グラフィック」の関係について研究、対話、実践を積み重ねているという。レコードを始めとするアナログなメディアを扱いながら、その思考や試みはもしかすると最先端!? 3月21日から、神戸アートビレッジセンター(KAVC)での展覧会が決定している「phono/graph」、そのヒミツに迫る。

■phono/graphの制作にはリミッターがまったくないんです。最終的に破綻してもいいっていう環境なので、とても居心地がいい。(見増)

―今日は「phono/graph」を代表して、藤本由紀夫さん、八木良太さん、そして、デザインユニットintextとしても活躍する見増勇介さんの三人に話を伺います。まずは「phono/graph」という多彩なアーティストが集まったプロジェクトが、どのようにして始まったのか教えてください。

藤本:僕が大阪にあったdddというデザインのギャラリーで展覧会の相談を受けたのがきっかけなんですけど、普段やっているサウンドアートのような作品を単に発表しても仕方がないので、「phono/graph」というテーマと、それを一緒に作っていけそうな人を考えて、僕のほうから呼びかけました。集まったのは京都の飲み屋で、普通だったら、そこに企画書みたいなものを持っていくんでしょうけど、とりあえず、A4の用紙に「phono/graph」と連続して打ち出したものだけを持って行って(笑)。さすがに手ぶらではまずいなと思いまして。

見増:ずっと作品を見てきた藤本さんから声をかけていただいて、すごく嬉しかったのですが、そのA4用紙を見て、正直「うーむ、なに作ろうか……」って感じだったので、その日はひたすら飲んでたことを覚えています(笑)。普段デザイナーとして作っているものとは違うアプローチになるわけですから。

八木:僕はその日、海外にいたので参加できなかったけど、話を聞いてすぐにやります! って。集まった人たちは、それぞれ何となく顔は知ってたけど、直接話はしたことがないという方々でした。今では距離もぐっと縮まって、個別に仕事もお願いしたりするような関係になっています。

見増:今では八木くんの家にご飯を食べに行くほど親密な仲に(笑)。つまり、藤本さんがハブの役割を担って、まずはみんなで集まったという始まりですね。

―フォノグラフ(phonograph)というのは、19世紀にエジソンが発明した蓄音機のことだと伺いました。プロジェクト名にもなっている、この言葉にはどういう意味があるんでしょう。

藤本:音(phono)を記録(graph)して、再生する機械だからフォノグラフ。明らかに、写真(photograph)を意識して名付けられていますよね。エジソンと同時代に生きたフランスの作家、オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダンの小説『未来のイブ』で、エジソンが登場して嘆くシーンがあるんです。「レコードなんて単純な原理のものを自分が発明したと賞賛されるのは、あまりに不名誉でしょうがない」って。たしかにレコードってものすごく単純な仕組みで、今で言うアルミシート1枚に針で引っ掻き傷を描いて、その溝を針でなぞるだけ。傘の先でアスファルトをなぞるとガガガって音が出るでしょ、あれと理屈はまったく同じなんですね。

―なるほど。レコードの仕組みをひもとけば、それほどシンプルな原理の話になるんですね。

藤本:15世紀にヨハネス・グーテンベルクが活版印刷技術を発明するより前に作られていても、全然おかしくなかったくらい。そんな単純な原理だからこそ、もっと違うやり方もあるはずだというところで、僕はこれまでレコードをテーマにいろいろ作品を作ってきました。一方で、他の人ならどうアプローチするのかなという興味もずっとあったので、dddの展覧会をちょうどいい契機として、いろんな人たちに声をかけたんです。「phono」と「graph」の間にスラッシュを入れたことだけが、僕のオリジナルです。

―スラッシュ1つで、レコードから音、記録、印刷、写真、メディアといった領域にまで広がる予感が生まれています。

八木:phono/graphとしての最初のミーティングで、デザイナーのニコール(・シュミット)さんが卒業研究で作った本を持ってこられましたよね。「文字と音」をテーマにした、デザインもすごくきれいな本で、あれを見た瞬間から、このテーマ、このメンバーで考えていくことがますます楽しみになった気もします。

藤本:「漫画と音」「タイポグラフィと音」のようなテーマで5冊、彼女がすべて自分でレイアウトをして、中身はあらゆる文献からの引用だけでできているというもの。あの本がphono/graphのバイブルのようなものかもしれません。「音、文字、グラフィック」というテーマ自体はとてもシンプルなことだから、いまだに考えたり、実験することが尽きません。

見増:僕は普段、デザインの仕事をしているので、どうしてもクライアントとの関わりでフィニッシュが決まってくる部分もありますけど、phono/graphの制作にはリミッターがまったくないんです。最終的に破綻してもいいっていう環境なので、とても居心地が良い。あと、作品を形にする以前のところですごく時間を費やせるのはとても有意義です。たとえば一般的な読書様式の構造自体から考え直すなど、仕事の中では実現の難しいことに満ちている。

藤本:今は、クライアントの要望に対してどう答えを出すか? というものが多いですけど、そうじゃないところで考えられる場というのは必要だと思います。「それやって何の意味があるの? それやってどうなるの?」って言葉はphono/graphではまったく出てこない。

八木:それが一番言っちゃダメな言葉ですよね。

藤本:アートの現場でもそういう人が少なくないから。最終的にどうなるのかは誰かが考えてくれるんですよ。だから、次の神戸アートビレッジセンター(以下、KAVC)の展覧会も大変なことになるかもしれません(笑)。

■世代より時代だと思います。世代意識とか、男だから女だからってまったくナンセンス。そもそも社会ってそういうものじゃないですか。(藤本)

―今日の取材は、KAVCのアトリエで行われていますが、すっかりphono/graphが占拠してしまっているようですね。

八木:半年くらい前からこの部屋を借りて、phono/graphのメンバーで月に1、2回の頻度で集まってきました。隣りの部屋がシルクスクリーン工房になっているので、ミーティングをして、すぐに隣で印刷を試してみてというような、対話と実験を繰り返している時間がとても楽しい。展覧会という形ではなく、この場をそのまま見てもらってもいいくらいなんですけどね。

藤本:phono/graphは、当初dddの展覧会のために集まったプロジェクトでしたが、それ以降は自分たちの興味で動いているので、展覧会だけが目的じゃないんですよ。出版物でもパーティーでも、別にどんなアウトプットで見せてもいい。あわよくば、このままこの場所を10年間くらいは占拠して……(笑)。

八木:じつは、展覧会をやるたびに僕たちが集まる場所も変わっています。phono/graphにはノマド的な性質もあるんですね。

藤本:人と人が直接会う状況をどう作っていくか。これも1つの作品を作るのと同じくらい大切なことです。昔から、サロンのような場が面白いと思って、いろいろな場を作ってきましたけど、むしろ今はものすごく必要だという感じがします。サロンという言葉自体が死語なんですけども。

―サロンと聞けば、排他的なイメージも付きまといます。

藤本:当然そうですね。だけど、今の時代は排他的な状況こそがない。5人くらいでひっそり集まっていても、FacebookやTwitterでどこかに漏れていくでしょう。だから、人数の問題ではないと思っていますけど、自分で手応えがあるのはせいぜい20人までですね。それ以上だと「人」ではなく「マス」を相手にしている感じがします。

―phono/graphで集まるたびに、夜は神戸の違ったお店で食事をされているみたいですね。KAVCのブログでも紹介されていました。

藤本:そう。サロンというのは、そこまでつながらなければ意味がない。勉強だけしていてもしょうがないんです。実際、海外の展覧会でもオープニングはすごく重要だし、終わった後の食事の席までちゃんとセッティングされているのが普通です。展覧会準備で昨日までイギリスに行ってたんですが、「オープニングの後はディナーです!」って、ちゃんと「!」つきで連絡がありました(笑)。ただ人が集まって、飲みながら話をするだけなんですけど、そこまでをひと続きでみんなが楽しんでいる。

見増:やっぱり食事をしながら話すと、ミーティングの場で話すのとは全然違うことが出てきます。今回の展覧会では、「littleBits」という電子楽器を使うことになりましたけど、これも最初は飲みの席で、メンバーの上芝(智裕 / softpad)さんが「これ知ってる?」って、ごそごそとlittleBitsを取り出したことから始まってますもんね。

八木:あのときはみんなどよめいて、次の週にはほぼ全員が買って来てたよね(笑)。やっぱり直接会って話していると、温度差が生じにくいというメリットもあると思います。

―ちなみに、littleBitsはアナログシンセサイザーの各回路がレゴブロックのように独立して、自由にそれをつなぎ変えることで音を出すというもの。

見増:でも、littleBitsが飲みの席で出てくるのって、じつは必然で、電池駆動だし、小さなスピーカーまで付いてるんです。

藤本:アナログシンセサイザーの仕組みなんて、今ではアプリですぐにシミュレーションできるのに、わざわざそれをおもちゃにして売り出した。「完成品のシンセサイザーを買えばいいのに」って思う人も多いかもしれないけど、そうじゃない。仕組みを単純に見ることができて、実際に触れることでさまざまな可能性が生まれるんです。これはphono/graphにも通じるところがあるなと思っています。

―サロンのような場で実験を繰り返して、その後も一緒に飲んで、おもちゃに夢中になれて。しかも、こうしたことがまったく違う世代のメンバー間で成立していることもうらやましく感じられます。

見増:僕は、学生の頃から横のつながりのほうが薄くて、クラブに遊びに連れて行ってもらったのも、先生だった南さん(琢也 / softpad、phono/graphメンバー)なんです。同世代の価値観が必ずしも正解だとは思っていないので、世代がぴょんぴょん飛んでるような関係性は刺激的ですね。

藤本:僕自身も昔から同じ世代とはまったくやってこなかったし、世代より時代だと思います。70代でも今の時代を生きている人もいれば、30代で昔の時代を生きてるような人もいるわけだから。世代意識とか、男だから女だからってまったくナンセンス。そもそも社会ってそういうものじゃないですか。

■シルクスクリーンで製版したレコードを作ってみて、本当に音が鳴るのかなと半信半疑に思ってたら、ちゃんと音が鳴りました。その瞬間はすごく興奮しましたね。(八木)

―KAVCでは半年にわたって、さまざまな実験を行ってきたということですが、実際の展覧会『phono/graph ―音・文字・グラフィック―』としてはどんなものになりそうでしょうか。

藤本:完成品だけを並べるのではなくて、ここまでやってきた実験をどうやってそのまま見せることができるか。だから、どんな作品ですかと聞かれると、どうやって答えればいいかわからない(笑)。

―実験の過程は、KAVCのウェブサイトでも、制作備忘録として報告されていますね。

藤本:今回は、神戸という近くて集まりやすい場所だったから、時間をかけて作れた面もあります。KAVCがただ展示するだけじゃなく、シルクスクリーン工房もあったりするところなので、KAVCのスタッフの人も含めて、一緒に考えながら作っていける貴重な機会となりました。

八木:工房を使って、シルクスクリーンで製版したレコードを作ってみたんですよ。なかば半信半疑というか、本当にこんなことで音が鳴るのかなと思ってたら、ちゃんと音が鳴りました。その瞬間はすごく興奮しましたね。

藤本:シルクスクリーンは、メッシュという網目の版でインクを刷るので、そこに微細なデコボコができるんです。つまり、レコード盤の溝に引っ掻き傷を作るか、インクでデコボコを生み出すかの違いでしかないということですね。今回からメンバーとして参加する城(一裕)さんが、紙を切るためのカッティングマシンを使ってレコードの溝を作るプロセスを見せてくれたのですが、音が聞こえてびっくりしました。

―一見、ただの紙にしか見えないものがレコードプレイヤーにかけられて音が鳴っていると、冒頭で藤本さんが言われたように、レコードというものの概念がどんどん拡張されていくようです。

藤本:要は、デコボコした表面をなぞれば音が出るというのが、レコードなんだから、地球上をレコード盤に見立てれば、僕らが歩いた音をピックアップすれば、それもレコードと言えるだろうと。というところから、いろいろな物を床に敷き詰めて、その上を歩く『BROOM』という作品も作ってきました。broomというのはホウキのこと。

―床がレコード盤、人間がレコードの針というわけですね。

見増:ドイツのドルトムントでphono/graphの展覧会をしたときには、床に石炭を敷き詰めました。石炭をよく産出した街だったということで。

藤本:そう。で、神戸でやるならその素材が何なのか。考えた中で出てきたのが、KAVCのすぐ隣りにある場外舟券売り場「ボートピア」だったんです。だから今回は大量の舟券を床に敷き詰めて「BROOM」を作ります。しかも、不要な舟券をわけてもらうためにボートピアにお願いしてみたところ、当たり券しか保管されていなかったので、敷き詰められるのは、当たり券ばかり(笑)。

―大量の当たり券! 踏みしめるとどんな音がするんでしょうか。

藤本:あと、これまでphono/graphでやってきた展覧会は、ギャラリー空間が多かったので、大きな音を出せないストレスもありましたけど、KAVCには防音完備のシアターもありますから。今回はそこで爆音を出したい。

見増:メンバーの南さんから提案があって、プレートリバーブを自作して、実験してるんですよ。

藤本:プレートリバーブというのはいわゆる残響装置で、The BeatlesやThe Rolling Stonesなど、1960年代のレコーディング現場でよく使われていたもの。今やほとんどデジタル処理ですけど、当時は巨大な鉄板を空間に置いて、物理的に残響音を作っていたんですね。だから、鉄板さえあれば自作できるだろうということで、シアターに何枚もぶら下げることになると思います。

―シアターにぶら下がる巨大な鉄板。視覚的にも強烈なものになりそうです。

藤本:やっぱりデジタルのシミュレーションの音じゃないから、面白いと思いますよ。展示最終日には、プレートリバーブに何台ものlittleBitsをつないで、実際に音を出してみるワークショップもやります。デカい音が出し放題(笑)。まあ、どんなことになるかわかりませんけど。

見増:想像するだけでワクワクしてきますよね。

藤本:シアターでは映像も流せるので、音と映像を使って、phono/graphがやってきたことに触れられる場、「TOUCH phono/graph」をテーマにしています。ギャラリー空間では図書館をイメージした展示、こちらは「THINK phono/graph」がテーマになります。

八木:シルクスクリーン工房で作ったレコードは、ギャラリーで展示をするつもりです。先ほど話に出た、ニコールさんの本『文字と音』も読めるような形で展示できると思います。

藤本:考えることと触れることって、身体のまったく別の部分を使うものですけど、その両方が必要だと思うんですね。今回の展覧会も、サロンのような場もそうですけど、この先、両方のバランスをどうとっていくかを考えていかないと。

見増:食事も大切ですね。phono/graphでは夜の食事の後に有志で二次会に行くこともあるんです。

藤本:僕は参加してませんが、それで見増くんはだんだんお腹が出てきました(笑)。だけど実際、このところ見直されているのは触覚の分野なんですよ。で、食というのはどうしても触覚に関わらざるを得ないところだから。

見増:それはもう間違いないです(笑)。

藤本:バーチャルで食を体験するのは無理ですよね。だから食も「TOUCH phono/graph」なんですよ。

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