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“師匠・片山晋呉”の教えを守り、勝利に結びつけた飯島茜 Tポイントレディス ゴルフトーナメント(2015)(最終日) 写真・村上航
Tポイントレディス ゴルフトーナメント(3月20日~22日、佐賀県・若木GC、6304ヤード、パー72)
「すごく1日が長かったです。疲れすぎて全然泣けなかったです(笑)」
そういってホッと息をついた飯島茜。通算3アンダーで並んだ全美貞との6ホールにも及ぶプレーオフを制し、2010年のゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント以来、5年ぶり通算7勝目を手にした。
最終日は大混戦だった。3アンダーの2位タイからスタートした飯島は、前半は1バーディ、2ボギー。バックナインでは13番(パー4)でダブルボギーをたたき、スコアをイーブンパーにまで落としてしまう。
「13番でOBしてしまい、ここでイーブンパー。次の14番(パー5)のロングホールでバーディを取って流れがよくなりました」
その後、16番(パー4)、18番(パー5)ではバーディを奪取。通算3アンダーでホールアウトしていた全美貞に並んでプレーオフへ。
「プレーオフ中はどれだけ続くのかと思いましたが、絶対に負けたくないって思っていました。来週の試合が宮崎なので、予約した宮崎行きの飛行機も乗れないし、勝たなきゃって(笑)」
18番で繰り返されたプレーオフは、6ホール目で全がパーで上がった。対する飯島はピンまで残り92ヤードの3打目を50度のピッチングウェッジをフルスイング。1.5メートルに寄せる会心のショットで、バーディパットをきっちりと沈めた。
「最後の3打目の距離は、後半の2回のバーディ(14番、16番)と同じ距離が残ったので、それでピタリと合わせることができました」
これだけショットの精度が上がり、優勝できた要因について、飯島は片山晋呉の存在を上げる。
「約3年前から宮崎での合同キャンプなどで片山さんから指導を受けていますが、今までは前からクラブが下りてくる癖があって、インパクトが少なかったんです。それをずっと3年間、指摘され続けていて一度も褒められたことがなかったんです」
飯島が続ける。
「アイアンショットの音も“カサ”っという音がしていたのですが、1月中旬から1カ月のタイ合宿で“ピシッ”っていう音に変わってきたんです。その後、宮崎で片山さんに見てもらったら『すごく別人になったね。もう問題ないよ』って言われて。初めて言われてうれしかったのと『これで勝てるよ』って言われました」
さらにパターのグリップもクロスハンドにこだわってきたが、今年から順手に変えた。これも「見た目にもパットが入りそうだ」と片山から言われた。アドバイスはまだまだある。
「技術は大丈夫だから、あとは“頭”を使うこと」――。片山は飯島に口をすっぱくして言ったという。
「片山さんの言う“頭”って、言葉の伝え方とか料理することとか、普段やらないことを積極的に自分を変えていかないとゴルフもよくならないって言うんです。それで少しは料理もするようになりましたし、疲れているときに嫌でも片山さんの本を読んだり(笑)」
その中でも、この3年間で大きく変わったことが何かを聞くと
「チーズケーキのレシピがいいから、すごくおいしいと褒められた(笑)」
と少しお茶目な一面を見せるのだった。
ようやくゴルフも私生活も確実に変わり始めてきたが、年齢は31歳。決して若い部類に入る選手ではない。勝ち星が遠のき、それでも腐らずに続けられてきたのは、常に勝ちたいという思いがあったからだという。
「もう稼げないと思ったらプロゴルファーはやめます。優勝するという強い意識がなかったら続けられませんよね。常に勝ちたいと言う思いがあるから今も続けられるんです。35歳まではバリバリ現役で頑張りたい」
「これで勝てる」という片山の言葉は現実になった。5年ぶりの優勝でも、飯島は感極まる暇もなかったに違いない。まだまだこれからやるべきことがたくさんあるからだ。
「今年は1勝が目標だったので、それは達成できました。これからまた新たな技術習得と目標をしっかり定めていきたい」
自分を信じて続けてきたことがようやく実を結んだ。一皮むけた飯島の今後の成長が楽しみだ。
文・キム ミョンウ
本記事は「ParOn」から提供を受けております。
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