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中越地震10年 ヤマを守る

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中越地震10年 ヤマを守る

 2004年10月23日に発生し、68人の犠牲者を出した新潟県中越地震から間もなく10年。

  当時出会った人たちを久しぶりに訪ねると、山里は平穏を取り戻していた。

  • 山あいの棚田でコシヒカリを収穫する梅沢専一さんと妻の美保子さん。「今年は収量も多い。雨の降る年は出来がいいんだ」と笑顔を見せた=新潟県長岡市で
  •  

      黄金色に輝く棚田が秋風に波打つ。「今年は出来がいいよ」。長岡市(旧栃尾市)森上の農業、梅沢専一さん(67)はコシヒカリ収穫の合間に白い歯を見せた。約100枚ある棚田のほとんどで地盤が傾いたり沈下したりするなどした。重機を操ってあぜや土手を自力で直した。肥料や乾燥方法を工夫し「平地に負けないうまいコメができた」と自信を見せる。

    •   しかし、順調な復興の陰に震災は新たな不安を生み出していた。被災地の旧山古志村(現長岡市)や近隣の地区で人口が震災前の約半分に激減したのだ。小学生の数は4分の1だ。「10年先にはどうなるか」と梅沢さんは顔を曇らせる。

        「よした!」。小千谷市の闘牛場に威勢の良いかけ声が響く。1トン近い巨体がぶつかり合うが、決着をつけないのが、この地域の闘牛のルールだ。世話をする「大家1号」と共に舞台に上がった同市小栗山の養鯉(ようり)業、片岡上生(じょうぶ)さん(31)は小さい頃から牛中心の生活だった。震災の時も仮設住宅から牛を避難させた場所に通って世話をした。養鯉施設の復旧作業にも「牛がいたから頑張れた」という。

        今、片岡さんが考えているのは闘牛の伝統を引き継ぐこと。「若い者がやらなければなくなってしまう」。過疎や高齢化は加速している。日本有数の豪雪地帯で冬は厳しい。それでもヤマの暮らしや文化を守っていきたいという。

       写真と文 佐藤俊和

       (10月1日から12日に撮影)

      • 闘牛大会で頑張った「大家1号」を、足取りも軽く引く片岡上生さん。この日は家で面倒を見ている3頭の牛がよく闘ったので気分がいい=小千谷市で

         

        • 避難先の仮説住宅で郵便配達に走り回っていた坂牧忠雄さん(64)は、山古志に戻った。稲刈りの日には震災後、長岡の市街地に住むようになった娘と孫たちが手伝いにやって来て、にぎやかな食卓になった=長岡市山古志種苧原(たねすはら)で

           

          • 震災の直後、土砂崩れダムの影響で水没した長岡市山古志木籠(こごも)地区。そのまま残された民家は被災と復興のシンボルとなり、訪れる人が絶えない

             

            • セリにかけられるのを待つ特産のニシキゴイ。病気を予防するため袋詰めされている。現在、出荷量は震災前と同程度まで回復している=小千谷市で

               

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