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2013年、日本人の伝統的な食文化としてユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」。農林水産省によると、和食の特徴とは、「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」、「栄養バランスに優れた健康的な食生活」、「自然の美しさや季節の移ろいの表現」、「正月などの年中行事との密接な関わり」にあるのだそうです。
『和食は福井にあり 鯖街道からコシヒカリまで』の著者で、フードジャーナリスト・食文化研究家の向笠千恵子さんは、食材から行事食、食器から包丁に至るまで、こうした和食を彩るすべてがそろっている県があるのだといいます。
その県は、南に京都府、北に石川県と隣接している、福井県。
福井県は「越山若水」といわれるように緑と水にも恵まれ、海、川、山、野、里と変化に富んだ自然環境そのものが、日本全体の縮図のような環境にあるのだと向井さんは指摘します。
「自然が変化に富み、四季が明確な日本列島の生活環境そのものが、四千百八十九平方キロメートルの県内に巧みに配置されているのである」(同書より)
そして「食」とは、こうした自然環境のなかから生み出されるもの。たとえば和食の基本となるのは、豊富な「水」ですが、福井は県全体の水道の水源の56.4パーセントが地下水であることからもわかるように、水に恵まれた土地。豊富な水はおいしい野菜を育て、「おひたし」を生み出します。
「いい水をたっぷり吸って育った青菜を大量の水でじゃぶじゃぶ洗い、これまたたっぷりの水でゆで、きれいな水にさらして引き締めて、水気をしぼる。(中略)つまり、これでもかというぐらい大量の水のお世話になるのである」
あるいは福井県は、冬になると北西の季節風が吹き荒れ、大きく気候が変動。そこで冬の間中食べ続けることが出来るように、発酵という技術を生み出し、鯖のぬか漬けである「へしこ」や、「なれずし」などが根付いたのだといいます。
本書のなかでは、この他にもコシヒカリ、越前がに、昆布、あぶらあげ、そば……と、海の幸、山の幸にと渡り、和食文化と福井県との関わりが、現地での取材をもとに細かに記されていきます。
3月14日の北陸新幹線、金沢開業にあわせ、金沢–福井間にも特急列車「ダイナスター」が新設されるとのこと。所要時間は、45分~50分。金沢にまで行かれる方は、少し足をのばして、福井の和食の美味しさを実際に自分の舌でも確かめに行ってみてはいかがでしょうか。