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着陸の失敗で乗員乗客計27人が負傷した広島空港(広島県三原市)のアシアナ航空機事故。15日になり事故原因の究明が始まったが、事故機は滑走路脇に止まったままで、同空港発着の60便全便が運休するなど、影響は広がっている。一方、毎日新聞は事故直後に機外に逃れた乗客が撮影した複数の動画を入手した。動画には「赤ちゃん大丈夫か」と叫ぶ人や、乗務員に食ってかかる乗客らしい人の声など、生々しい音声が収録されていた。
国土交通省によると、滑走路の舗装面は機体が接触したことで、約1キロにわたり深さ2センチほどえぐれたが、航空機の発着には支障がない程度という。ただ、アシアナ機が接触した「ローカライザーアンテナ」(着陸誘導アンテナ)は、24本組みのアンテナ一式が破損した。運航を再開する場合、離着陸に制限が生じる可能性があるという。
現場では日没まで運輸安全委員会の事故調査や広島県警の現場検証が続き、重要な証拠物品でもある機体はすぐに動かせない、という。16日の運航予定は夜になっても未定のままだ。
一方、乗客が撮影した動画の一つは、韓国で家族旅行をした帰りに事故に遭った広島県安芸高田市の男性会社員(29)が機内から脱出した直後、家族を連れて走って逃げながら撮った。消防車のサイレンが鳴り響き、遠くに機体が見える。暗闇の中、女性が「逃げて! 赤ちゃん大丈夫ですか」などと叫んでいる。
男性によると、着陸の5分ほど前、高度を下げる機体が大きく揺れた。着陸と同時に「バーン」という大きな音がして上下に揺れ、乗客の女性らの「キャー」という悲鳴が機内に響いた。両側の窓の外に火柱が見え、床から出る焦げ臭い煙で視界が悪くなり、機内は一気にパニック状態になった。
機体が停止すると、客室乗務員が機体中央の両側の非常口を開けようとしたが、開かない。乗務員までが冷静さを失っている様子を見て、男性は「もうだめかもしれない。外に出られない」と思ったが、後方から「逃げてください」と乗務員の声が響き、何とか機外へ逃れた。
男性は「機体が爆発するかもしれないと恐怖でいっぱいだった。家族を守ろうと、急いで逃げた。とにかく焦っていた」と語った。
もう一つの動画は、別の男性(58)が、機体から脱出した直後にデジタルカメラで撮影した。撮影時間は約20秒。傾いた機体や消防車、逃げる人影のほか、女性が甲高い声で乗務員をののしるような声が収められていた。…