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厚生労働省が28日公表した2015〜17年度の介護保険料(65歳以上、月額)は、高齢化の進行で全国平均が5514円と、制度が発足した00年度の2倍近くに達した。一方で、現時点では介護保険を利用するお年寄りは「少数派」で、市区町村には健康な高齢者から「保険料の払い損」との苦情も届いている。高まる介護サービスの需要と保険料水準をどう両立するのか、板挟みの苦悩が続いている。
保険料が全国一の8686円になった奈良県天川村(てんかわむら)。12〜14年度の介護施設への入所者を33人と見ていたが、実際は67人で費用が倍増したことが響いた。
人口約8700人の34%、約3000人が65歳以上という山形県北部の真室川町(まむろがわまち)は、15〜17年度の平均保険料が12〜14年度比4割増の6997円。5人に1人が75歳以上と高齢化の進行は全国より10年早い。
それでも、高齢者の8割は介護サービスを受けていない。同町は今年度から、介護ボランティアに商品券に換えられるポイントを渡す事業を始めるなど介護費の抑制に懸命だが、担当者は「健康な人には『助け合いの制度』と理解を求めるしかない」と話す。
保険料の引き上げは、今後急速に高齢化が進む都市部でも同様だ。東京都で最も高い港区は同19%増の6245円となる。港区を含め東京都は5区町村が6000円以上だ。ある自治体の担当者は「高い負担をする以上、使わないと損」という住民感情が一層介護費を押し上げる悪循環を招いているといい、「国は介護保険の仕組みを見直した方がいい」と指摘する。
そうした中、東京都荒川区は09〜14年度は東京23区で最も保険料が高かったが、同2.2%減の5662円と都内で唯一引き下げた。02年から大学と共同で高齢者向けに「転倒予防体操」の教室を開くなど、重度化の予防に力を入れており、要介護認定者(昨年12月時点で高齢者の17.3%)の伸びが緩やかになったことなどが奏功したとみている。【中島和哉】
淑徳大総合福祉学部の結城康博教授(社会保障論)の話 自治体は保険料の増加がサービス改善につながるなど、必ずしも悪ではないことを住民に説明する必要がある。介護費の伸びを緩やかにするのも大事だが、増加は避けられない。国は50%の介護保険の税負担割合を増やすべきだ。
◇介護保険料が高額の自治体
(1)天川村(奈 良) 8686円
(2)飯舘村(福 島) 8003円
(3)黒滝村(奈 良) 7800円
美咲町(岡 山) 7800円
(5)双葉町(福 島) 7528円
◇介護保険料が低額の自治体
(1)三島村(鹿児島) 2800円
(2)音威子府村(北海道)3000円
(3)中札内村(北海道) 3100円
(4)檜枝岐村(福 島) 3340円
(5)興部町(北海道) 3500円
平取町(北海道) 3500円
※カッコ内は都道府県、いずれも月額平均。