政治そのほか速
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米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設先、名護市辺野古沿岸部で海底ボーリング調査の再開に向けた作業が進む中、現場海域や米軍キャンプ・シュワブゲート前では、移設反対派と警備当局の衝突が激しさを増している。海上では反対派が連日、作業現場に接近し、海上保安庁による拘束が繰り返されている。「過剰警備だ」との反対派の批判に、海上保安庁は「適切に対応している」と反論するが、摩擦がエスカレートする事態も懸念している。【前谷宏、宗岡敬介、佐藤賢二郎】
5日午前10時ごろ、反対派のカヌー10隻と小型船4隻が大型作業船に近づくと、周囲をゴムボートに乗った海上保安官が取り囲んだ。現場は政府が立ち入りを禁じるために設定した「臨時制限区域」。「これ以上近づくと必要な措置を取る」。海上保安官が言った。
反対派によると、制止後も接近を試みたカヌーは海保のゴムボートにつなぎ留められて拘束され、作業船から離れた海域で解放された。4日の抗議では海上で1時間以上もつなぎ留められ、体が冷えて救急搬送された40代の女性もいた。
臨時制限区域に許可なく入った場合は日米地位協定の実施に伴う刑事特別法違反容疑で摘発の対象となる。2004年、国が当時の辺野古沖移設計画でボーリング調査を始めた際、反対派が海上の作業用やぐらに座り込んで作業を阻止した経緯があり、作業現場に近づかせないために政府が制限区域を設定したとみられている。
しかし、反対派は昨年7月以降、断続的に区域内に入り抗議している。「1日平均20人ほどが海上に出ている」といい、拘束の際に暴力を振るわれ負傷したとして、これまでに4人が海上保安官を特別公務員暴行陵虐致傷容疑で那覇地検に刑事告訴した。
反対派の「カヌー隊」リーダーの佐々木弘文(こうぶん)さん(39)=名護市=は「区域外では作業現場に抗議が届かない。移設を阻止するには近づかないといけない。こちらは平和的に抗議をしているだけ。なぜ暴力を振るうのか」と訴える。
これに対し、海上保安庁広報室は「警告を無視した制限区域への侵入は違法で、作業中の船に取り付いたり、海保のゴムボートに船を衝突させるなどの危険な行為は看過できない」と主張する。ある海保幹部は「このまま対立が続いて衝突がエスカレートすることが心配だ」と話した。
キャンプ・シュワブゲート前での抗議が始まったのも昨年7月ごろ。今年1月に政府がボーリング調査再開に向けた作業を始めると、テントに泊まり込んで資材搬入に抗議するなどしてきた。…