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【チュニス秋山信一】チュニジアの首都チュニスで国立バルドー博物館が襲撃され日本人ら20人以上が犠牲になったテロ事件で、実行犯の男2人が当初、報じられていた軍服ではなく、普段着姿で観光バスで来館した団体客に紛れて入館していたことが20日、チュニジア政府当局者への取材で分かった。犯人は団体客が館内に入ったのを見計らって無差別銃撃を開始し、犠牲者の大半は即死だった。また男の一人が博物館近くに住んでいたことも判明し、土地勘を生かして周到に計画していた疑いが濃厚になった。
保健省当局者や治安当局関係者によると、実行犯は自動小銃と手投げ弾をリュックに入れ、スポーツウエアなど動きやすい服装で、観光客を装っていた。シド首相は当初、実行犯は軍服姿で変装していたと発表していたが、監視カメラの分析などから普段着姿だったと判明した。
実行犯は18日正午ごろ、来館した大型フェリーの団体客に紛れて博物館に潜入。当初は不審な動きを見せず、団体客が館内に入りきったところで発砲を始め、2時間以上にわたって治安部隊と銃撃戦を続けた。
保健省のまとめでは、日本人女性3人を含む23人が死亡したが、うち21人は現場で死亡が確認された。頭や手足など複数の箇所に被弾した犠牲者が多く、犯人に強い殺意があったとみられる。2人は病院に搬送後に死亡した。
地元メディアによると、実行犯の2人はチュニス出身のヤシン・ラアビディ容疑者(21)と西部スビバ出身のハテム・ハシュナウィ容疑者(27)。ラアビディ容疑者は博物館の約2キロ北のイブン・ハルドゥーン地区に居住していた。2人はチュニジアの過激派組織「アンサール・シャリア」のメンバーで、リビアへの渡航歴があり、現地で軍事訓練を受けていたとの情報もある。昨年12月下旬にチュニジアに帰国し、ラアビディ容疑者の自宅近くに潜伏していた模様だ。治安当局は19日、実行犯2人の実家などを捜索し、複数の親族を拘束した。これまでに実行犯の協力者10人前後が逮捕された。一方、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)とみられるグループは19日、犯行声明を出した。