【北京・井出晋平】国営中国中央テレビ（ＣＣＴＶ）は１５日、世界消費者権利デーに合わせて放送した特別番組で、日産自動車など外資系自動車メーカーの販売店が「暴利をむさぼっている」と批判した。特番には「外資たたき」の影がちらついており、やり玉に挙がった各社は対応に追われている。
　
　　特番は、日産と独フォルクスワーゲン（ＶＷ）、メルセデス・ベンツの販売店に自動車を修理に持ち込み、対応を隠しカメラで撮影。販売店が必要以上の部品を交換するなどして「多額の費用を請求した」と報じた。
　
　　３社の中国合弁会社は、特番後に「緊急調査を開始する」と声明を発表した。外資系自動車販売店を巡っては、「修理部品の価格が高すぎる」として中国の独占禁止法当局が調査しており、消費者の関心が高まっていた。
　
　　番組では過去に、米アップル社やニコンの製品が欠陥製品と名指しされ謝罪や修理に追い込まれた。番組に「政治的な意図」を感じている関係者は多く、今年の番組開始が予告なく約４０分遅れたことにもインターネットで「李克強首相が同日の記者会見で当初標的としたネット通販業界を評価したため、急きょ内容が差し替えられたのではないか」との臆測が広がった。
　
　　ＣＣＴＶは「李首相会見の再放送が長引いたため」と否定しているが、疑念は拭えていない。