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【モスクワ真野森作】ロシアの野党指導者、ネムツォフ元第1副首相(55)の暗殺事件で拘束されたダダエフ容疑者に関し、出身地・南部チェチェン共和国のカディロフ首長は8日、「彼は信心深いイスラム教徒で(預言者ムハンマドの風刺画を掲載した仏週刊紙)シャルリーエブドに衝撃を受けていた」と言及した。捜査当局は、ネムツォフ氏が同紙襲撃事件への態度を巡って脅迫を受けていたと公表しており、「イスラム教の冒とくに絡む殺人」との仮説を後押しした形だ。
カディロフ氏はプーチン大統領に忠誠を誓う人物として知られ、ダダエフ容疑者はその部下にあたる。政権周辺の関与を疑う野党勢力の不信感は一層強まりそうだ。
ダダエフ容疑者はチェチェン内務省軍傘下で治安維持を担当する「セーベル(北)」大隊の副司令官で、既に殺害への関与を認めている。カディロフ氏は写真共有アプリ「インスタグラム」に自身の見解を書き込み、「彼はロシアの愛国者で、最も勇敢な隊員の一人」とも強調した。ダダエフ容疑者は「母親の病気」を理由に大隊を退職していたという。
露連邦捜査委員会のマルキン報道官は暗殺事件翌日の先月28日、複数ある仮説の一つとして、シャルリーエブド紙関連の脅迫を挙げた。報道によると、ネムツォフ氏はフェイスブックの自身のページに、同紙襲撃事件について遺族への哀悼の言葉やロシアのイスラム教指導者への批判を書き込んだことがある。