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札幌市・北円山の閑静な住宅街の、ビル地下にひっそりと暖簾(のれん)を掲げる和食店。
店主の川原恭弘さん(37)は道北の豊富町で生まれ育ち、調理の専門学校を卒業後、19歳から和食の道へ。すすきのの和食店などで腕を磨いた後、29歳の若さで独立した。北24条で人気店「海鮮居酒屋 北海」を営んでいたが、現在の店舗にたまたま縁があって2012年、店名も新たに移転オープンした。
その店、「季節処(きせつどころ) 川原」のメニューの主軸は、旬の魚介類や野菜を使った「本日のおすすめ」だ。品書きの組み立ては“素材ありき”なので、毎日の仕入れは真剣勝負。なかでも、メインの魚介類は、修業時代から付き合いがあるという「すすきの市場」の鮮魚店へ足繁(しげ)く通い、目の前の素材と向き合いながら、アイデアを膨らませてゆく。
川原さんの料理は、素材の持ち味をシンプルに楽しめる“引き算”の調理法が基本スタイルだという。例えば、この日の「おすすめ」に登場した「金目鯛(きんめだい)の煮つけ」は、醤油(しょうゆ)と砂糖、日本酒のみの煮汁でサッと炊き上げる。朱色の皮目に照りのある煮汁をまとい、一見、濃厚そうだが、箸を入れると、中の身は真っ白で、食感は驚くほどふっくら。金目鯛からにじむ上品な脂と、こっくり甘辛い煮汁が口の中で見事に調和する。
天ぷらは、食材によって衣の配合や厚みを微妙に変え、徹底的に油を切ることで、外はサクッ、中はほっこりの仕上がりに。ヒラメの刺し身は、「歯応えの違い」を楽しんでもらおうと、ひと切れで胴とエンガワを同時に味わえるようにさばく。料理の細部まで心を砕いている。
「修業時代から見守ってくださる長年のお客さんに、今も育てていただいています」と川原さん。そんなご贔屓(ひいき)から「何か旨(うま)いもん食べさせてよ」と一任される時はプレッシャーを感じるが、その分、励みにもなる。「『今日もおいしかったわ』と満足していただけた日は、テンションが上がりますね」
日本酒党の川原さんが取りそろえる地酒も、磯自慢や鶴齢、秋鹿など、なかなか通好みのラインアップ。
初めて訪れるなら、まずは先付、お造り、八寸、天ぷらと全12品を少しずつ味わえる「おつまみコース」(予約不要、2160円)を試してほしい。心憎い品ぞろえの地酒とともに味わえば、再び暖簾をくぐりたくなるはずだ。(文・葛西麻衣子 写真・藤倉孝幸)
【住 所】 札幌市中央区北3西26 N2ビル地下1階 (電)011・614・8588
【営業時間】 午後5時~午前0時(ラストオーダー午後11時30分)。日祝定休
【主なメニュー】 (日替わりメニューの一例)カニしんじょう702円、金目鯛の煮つけ1296円、お造り盛り合せ(三点盛り)1512円、穴子の白焼756円、春野菜の天ぷら盛り合せ918円など
※メニュー、価格などは変更されている場合があります。