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「ソフレ」という言葉を、聞いたことがありますか? ソフレとは、添い寝フレンドのこと。キスやそれ以上の行為は一切なしで、ただ一緒に寝るだけの異性の友達をそう呼ぶようです。普通に考えて、男と女が一緒にベッドで寝ていて、なにも間違いが起こらないはずがない。そう思いますよね。どうして、ソフレを持つのでしょうか。
ソフレは自分を解放するパートナー
少し前に、「キスフレ」というのが話題になりました。その際にサイバーエージェントが行った調査によると、キスフレのいる女性は約35%。キスまでだと浮気の罪悪感にさいなまれることなく快感が得られるため、キスフレを持っているということでした。今回のソフレは、キスすらしないということでさらに草食化している感じがします(キスフレについては「キスまでの男友達”キスフレ”いる女性36%の衝撃」で解説しています)。
ソフレが登場した背景には、「ひとりだと孤独で寂しいから」という理由があるでしょう。ですが、寂しさを埋め合わせる以外にもソフレを求める理由があると思います。それは、わがままな自分の解放。つまり、「性的な部分以外に関する欲求の充足」です。
恋人よりも安心できる疑似恋愛の相手として
添い寝をするということは、どこかで一緒に寝るわけですよね。エッチが目的のセフレではありませんから、ラブホテルではないでしょう。当然、男性か女性かどちらかの部屋になるわけです。そして、部屋にやってきてもすぐに寝ようということにはならないはず。おしゃべりをしたり、一緒にお酒を飲んだり、食事をしたり。
つまり、ほとんど恋人とすることをソフレとしていることになります。ただ、性的な行為をしないだけです。ソフレを使って疑似恋愛をしているとも言えるでしょう。ですが、中には恋人がいてもソフレがいるという人もいると聞きます。じゃあ、恋人とそれをすればいいじゃないかと思うでしょう。ですが、恋人とはそれができないのです。
相手のことが好きで、だからいつも一緒に居たいと恋人になった。だけど、好きだからこそ相手に気をつかってわがままが言えなかったり、恋人を失いたくなくて自分を押し殺して、相手の思うとおりにしてしまったりします。つまり、恋人に「あれして欲しい、これして欲しい」ということが、相手に気をつかうがあまり言えないわけです。
同じ目的を持つ割り切った関係だから得られる充足感
これは、現代の若者の典型的な人間関係のあり方かも知れません。幼児期にアタッチメント(情緒的絆)の形成が満足できるものではなく、誰かがどこかに行ってしまうのではないかと不安を抱えている。それが恋愛におけるアタッチメントにも影響している。
自分は愛される価値がないんじゃないかとか、相手はどこかに行ってしまうんじゃないかという不安が、相手を信頼することを踏みとどまらせ、わがままも言えなくさせてしまっているわけです。
ソフレには、一緒に寝るということ以上に、そこに至るまでの疑似恋愛行動で、恋人では埋まらない自分の欲求を満たしているのだと思います。なぜ、ソフレにはわがままが言えるのか。それは、お互いに同じ目的を持つ割り切った関係だからでしょう。キスやそれ以上をしないのは、お互いに相手に本気にならない(真剣な交際をしない)という結界なのかも知れませんね。
※写真と本文は関係ありません
著者プロフィール平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。