政治そのほか速
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斉藤洋二 ネクスト経済研究所代表
[東京 15日] – 3月5日から15日まで北京で全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が行われた。就任3年目に入る習近平指導部は、成長加速よりも持続的成長を目指す「新常態(ニューノーマル)」への経済目標転換を明確にしたが、今後新しい経済運営と改革の深化を進める実行力が問われることになる。
中国経済は、過去30年余りにわたって輸出・投資主導により年率10%程度の高成長を続けてきた。しかし、環境問題や労働力の制約そして労働コストの上昇などにより対外競争力を失いつつあり、これまでのように外資を導入しアクセルをふかし続けることは難しくなった。これからは「中高速成長」を目指しつつ、高成長下で膨らんだぜい肉、つまり一部特権階級の過剰な富の蓄積や腐敗の撲滅に向け構造改革が図られる。
このようなギアチェンジは既得権益を侵犯することから権力闘争の激化など様々な副作用がもたらされ、経済運営に目詰まりが生じる可能性も捨てきれない。果たして景気に減速感が強まる中での「新常態」への移行は経済の底割れを招くことはないのだろうか。
<世界最大級のリスクイベント>
「新常態」は、これまでの不動産投資と大量生産を軸にした投資・輸出主導型経済から、インフラ投資と高品質生産を軸に分厚くなった中間層を背景とした消費主導型経済への移行を図るものである。また、石油、鉄道、航空、金融など主力産業を支配する国有企業の無駄にメスを入れる一方で、サービス業やベンチャー企業の育成強化に取り組み、民間の活力を使った成長モデルを目指すこととなる。
2014年の国内総生産(GDP)成長率は目標7.5%に対し実績は7.4%と天安門事件で国際社会による制裁の影響を受けた1990年の3.8%以来24年ぶりの低成長となり、2015年の目標も7.0%前後へと下方修正された。従来であれば目標を押し上げたり、目標未達を回避するために公共事業を連発するのが常道とされたが、「新常態」においては不合理なインフラ投資でいびつな高成長を追わないとしているだけに、7%前後の成長目標から大きく底割れする懸念がつきまとう。
これまで中国の成長は外国企業の招致に始まり国際分業体制により支えられた。例えば広東省東莞市の工業団地において、台湾企業が農村部から来たコストの低い出稼ぎ労働者(農民工)を活用し、アップル製品を作るといった分業モデルが構築された。 続く…
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