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様々なシーンで起こり得る交通事故。過去には珍しい車両が事故に遭い、裁判で客観的価値が争点となった例がある。以前に紹介した「ハーレーダビッドソン」の限定モデルも、そのひとつだ(関連記事を参照)。今回は、古美術品を載せたワゴン車の事例を紹介する。商品の価値はどのように算定されるのか? 確定した損害賠償額を含めてみていこう。
<関連記事>【交通事故】ハーレー“限定モデル”の稀少価値とは
事故が起きたのは、2010年10月8日の深夜。ある古美術商がワゴン車に商品を積み、石川県内の高速走路を走行していた。そこに、大型トラックが追突。ワゴン車は約200メートル先のガードレールに衝突し大破、多数の美術品が損害を受けた。
事故の原因は、大型トラックの前方不注視。そのため、古美術商側に過失はない。損害額を算出するにあたり裁判が行われ、問題となったのが破損した美術品価値の“判断基準”だ。
裁判所は、「価値を客観的に把握するのは相当に困難」「個々の物品の評価ではなく、ある程度概括的な評価とならざるを得ない」として、「仕入れ額の裏付けがある物品に関しては“仕入れ額の7割”」などとした。最終的に裁判所が算定した積載品の損害額は、約465万円となった(2012年8月29日京都地裁判決)。
今回のような“物”の損害を補償する保険は、任意の「対物賠償保険」が対象。強制の自賠責保険のみであれば、“人”の損害のみを補償するため、今回のケースでは適用されない。万が一、加害者となってしまったときのことを考え、ドライバーはあらかじめ契約している補償内容を見直しておくことが大切といえるだろう。
監修/新橋IT法律事務所 弁護士・谷川徹三氏