政治そのほか速
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ヤマト運輸<9064>は3月末で「クロネコメール便」を廃止することを決定した。代替案として新サービスの「宅急便コンパクト」を用意している。山内雅喜社長は、料金は高くなるが、従来の宅急便より小さな荷物が対象で速さと正確性が増すことによりサービス品質の向上を挙げ、使い勝手の良さを述べた。しかし、現在82円もしくは164円で提供していたメール便がいきなり659円に跳ね上がる。料金度外視のサービスなら同社長の話に耳を傾けることはできるが、いきなり4倍、もしくは8倍も料金が上がるとなるとメール便を利用していた顧客がそのまま新サービスを利用するということは考えづらい。
「信書」をメール便で送ることが郵便法違反に問われるケースが相次いだことが、クロネコメール便を廃止した背景にある。「信書」とは受取人が明記されている書類等のことで主だった書類は「信書」にあたる。(書籍や新聞、チラシなどは信書ではない)「信書」を業として送るのは郵便でしかできず、郵便の輸送は日本郵便もしくは信書便事業の免許、信書便約款の認可、信書便管理規程の認可を総務大臣から受けた者でしかできない。そしてヤマト運輸は郵便輸送の免許等を持っていない。
その一方で日本郵便は3月6日に「スマートレター」という「信書」もしくは「信書が同封されている郵便物」を送ることができる封筒型郵便の新サービスを4月3日から提供することを発表した。料金は送料込の専用封筒が180円。ヤマト運輸がクロネコメール便を廃止するのが3月末。価格を重視する多くのクロネコメール便を使用していた顧客の獲得は予想される。
現在郵便法が足枷となって「顧客が求めるサービスを使えない」という状況だ。法律が変わるかヤマト運輸が変わるのか。今回のヤマト運輸、日本郵便の動きに関しては日本郵便に分があるように見える。しかし、ヤマト運輸が新サービスである「宅急便コンパクト」を成功させたのち「信書」問題を片づけた際には更なる高みに行ける可能性を秘めている。黒猫は鳴くのか笑うのか。今後のヤマト運輸の動きに目が離せない。(編集担当:久保田雄城)