政治そのほか速
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東京電力福島第1原発事故を巡る一連の損害賠償問題のうち、国と東電は、主に避難区域内の商工業者に支払ってきた「営業損害賠償」を来年2月で打ち切るとした素案について、当面適用しない方針を決めた。賠償打ち切りにより廃業が相次ぐなどの指摘が出たため。避難区域外の商工業者に対する「風評被害賠償」も素案では1年後に打ち切ると提案していたが、棚上げする。
営業賠償の対象は、原発事故後に避難区域が指定されるなどした福島県内13市町村の事業者。避難区域の場合、休業中の事業者のほか、移転先で営業を再開したり、廃業したりした場合も対象になっている。1月末現在で総額4581億円が支払われてきた。
素案について、経済産業省資源エネルギー庁の幹部は「国の原子力損害賠償紛争審査会の指針に、賠償期間には『一定の限度がある』と明記されている。(長期間支払い続けても)復興にはつながらない」と説明。ただし、昨年12月に素案を示した際、商工団体などから「損害は発生し続けている」などと猛反発を受けたため実施は当面見送る。今年2月まで4年分の賠償金は、東電が一括払いに応じたり、3カ月ごとの請求に応じて支払ったりしてきたが、3月以降の支払い方法は検討中という。
一方、風評被害賠償は、主に避難区域外の観光業者などに支払われており、1月末現在の総額は、農林水産物の出荷制限による損害賠償も含めて1兆2991億円。素案によると、農林水産業者への賠償は、原発事故の影響が大きいため継続されるが、観光業などの商工業者については来年2月の打ち切りを提案していた。
東電の賠償項目は、個人に支払う精神的損害(月10万円)や、避難に伴い減収分を補てんする就労不能損害など多岐にわたり、これまで支払ってきた総額は約4兆7125億円に達する。精神的賠償は避難指示が解除されてから1年後に終了することが既に決まっており、就労不能賠償は今年2月末で打ち切られた。個人への賠償スキームの大枠が決まる一方、商工業者らへの賠償については原発事故から間もなく4年になるが、合意形成に向けた糸口が見つかっていない。【土江洋範、小林洋子】
◇原発賠償
賠償金の原資は、国が発行する国債。2011年9月に設立された「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」を通じて東電に交付する。同機構は東電を含む原子力事業者11社から毎年徴収する「一般負担金」と、東電が資産売却などで捻出した「特別負担金」から回収する。一般負担金は電気料金で構成されており、国民負担が発生している。東電は昨年7月、賠償総額が5兆4214億円になると推計した。