政治そのほか速
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2015年春闘の大手製造業の集中回答では、賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)で昨年を上回る高水準の回答が相次ぎ、労使双方から「日本経済に好循環が生まれる」との声が相次いだ。ただ、現状程度の賃上げでは、日本経済を成長軌道に乗せるには力不足との指摘もある。消費を押し上げ、景気浮揚効果につなげるには、非製造業や中小企業にも賃上げが広がる必要がある。【種市房子、山口知】
「14年春闘はベア凍結などで張り付いていた賃金を引き上げ、15年春闘はさらにそれを加速させる道筋をつけつつある」。連合の古賀伸明会長は18日、回答状況への手応えを語った。経団連の榊原定征会長も「拡大した収益を従業員に適切に還元して、消費を拡大する姿勢を明確にした」と評価した。
昨年4月の消費増税後、物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、消費が冷え込んだが、ベアが行われれば毎月の賃金が底上げされ、消費に追い風となりそうだ。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「毎月安定して賃金が増えるベアは消費の呼び水になる。足元の原油安と合わせて消費が促され、経済の好循環が働くだろう」と評価する。
今後の焦点は非製造業や中小企業にもこの流れが広がるかどうかだ。「人手不足感の強まりで非製造業や中小企業も昨年を上回る賃上げが見込まれる」(エコノミスト)との指摘もあるが、消費低迷や円安による輸入原材料価格上昇もあって経営環境は厳しい。日本商工会議所の三村明夫会頭は「波及効果が広がるよう(下請け企業に対する)取引価格の適正化を訴えたい」と大企業へ注文した。
賃上げが今年で途切れず、来年以降続くかも課題だ。トヨタ自動車の上田達郎常務役員は18日、ベア4000円について「ベアによって日本経済全体に好循環が生まれ、組合員にもがんばってもらえると考えての回答だ」と説明した。好業績の追い風となった円安や原油安がずっと続くとは限らず、来年以降の動向は楽観できない。
UBS証券の青木大樹エコノミストは「大手製造業の回答は合格点だが、政府が目指す実質経済成長率2%を達成するにはまだ力不足。地方への波及や来年、再来年の賃上げ継続が鍵となる」と指摘し、賃上げが中小企業も含めて全国に広がり、継続することが重要と指摘した。