【ワシントン清水憲司】６日のニューヨーク株式市場は幅広い銘柄が売られ、ダウ工業株３０種平均が大幅下落した。同日発表された２月の雇用統計が好調で、米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）による事実上のゼロ金利政策の解除が早まるとの警戒感が広がったためで、ダウの終値は、前日比２７８．９４ドル安の１万７８５６．７８ドルとなった。外国為替市場ではドル買いが進み、円相場は一時、３カ月ぶりに１ドル＝１２１円台まで下落した。
　
　　２月の雇用統計は、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数が前月比２９万５０００人増（季節調整値、前月は２３万９０００人増）となり、市場の予測を上回った。失業率も５．５％と前月から０．２ポイント改善した。
　
　　雇用情勢の改善は本来なら好材料だが、「ゼロ金利解除の時期が早まり、金融市場に流れるお金が減る」との見方が株価を押し下げた。ダウの終値は、２月９日以来１カ月ぶりの水準まで下落し、下落幅は一時３１０ドルを超えた。
　
　　ゼロ金利解除の検討を進めるＦＲＢは、これまでの声明文で「忍耐強く対応する」として、３月と４月の連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）ではゼロ金利を解除しない方針を示唆。市場の関心は、ＦＲＢが今月１７、１８日のＦＯＭＣでこの文言を変更し、６月に解除するかどうかに集まっている。ＦＲＢが重視する雇用統計は、２月には就業者増に加え、賃金も緩やかながら伸びており、市場の「６月解除もあり得る」の見方を後押しした。
　
　　債券市場では、ゼロ金利解除による金利上昇（債券価格は下落）を懸念する売りが広がり、長期金利の指標となる１０年物米国債の利回りが前日比０．１２ポイント高い２．２４％と２カ月半ぶりの水準に上昇。外国為替市場ではドル高・円安が進み、円相場は１２１円台まで下落した。その後は円を買い戻す動きも出て、午後５時時点は前日比７０銭円安・ドル高の１ドル＝１２０円７９〜８９銭だった。