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チュニジアでテロ被害に遭った日本人観光客が乗っていた大型客船「MSCスプレンディダ号」=3月20日、スペイン・バルセロナ(EPA=時事)
「自分はたまたま巻き込まれなかっただけ。時間がたつほど恐ろしさが湧いてくる」。チュニジアで起きた観光客襲撃事件で、犠牲者の多くが乗っていたクルーズ船のツアーに同行している添乗員が21日未明、寄港先のスペインで電話取材に応じ、事件直後の緊迫した船内の様子を振り返った。
那覇市のツアー会社「ジャンボツアーズ」の添乗員二渡裕介さん(42)は15日、13人の団体客とともにイタリア・ジェノバから地中海を周遊する大型客船「MSCスプレンディダ号」に乗り、現地時間の18日朝、チュニジアへ到着した。一行は襲撃現場とは別の場所を観光しており、テロには遭遇しなかったという。
異変に気付いたのは、観光を終えて船に戻った同日夕。「テロがあったみたいだ」。二渡さんは船内のテレビで事件を知ったが、その時点で船会社からは何も発表がなく、同じ船に乗り合わせた日本人が犠牲になったとは分からなかったという。
二渡さんはその後、本社と連絡を取ってテロの詳細を把握。日本人に死傷者が出たことを知らされた一行は一様に動揺し、「自分が巻き込まれていたかも」「ぞっとして鳥肌が立つ」と青ざめたという。シリアで起きた邦人殺害事件を連想した人も多く、携帯電話などで家族に急いで無事を伝えていた。
結局、船は14時間遅れでチュニジアを出航。乗客約3700人に船内の大劇場に集まるようアナウンスがあり、イタリア人船長が舞台上でテロの概要を説明した。しかし犠牲者への黙とうなどはなく、「(テロに遭った)バスツアーの参加者には返金する」「次の寄港先でのツアーは無料にする」といった淡々とした内容で、「乗客が船長に詰め寄るなど険悪な雰囲気になった」という。
予定されていたビンゴ大会などのイベントは全て中止になり、船内は重苦しい雰囲気に包まれた。二渡さんは「日本ではテロをどこか人ごとのように感じていたが、状況次第では自分たちが巻き込まれていたかもしれない。本当に恐ろしい」と振り返り、「せっかく海外旅行に来て、理由もわからず巻き込まれた方はさぞ無念だったろう」と犠牲者を悼んだ。