政治そのほか速
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【ベルリン篠田航一】ドイツのメルケル首相が9日から2日間の日程で日本を訪問する。6月に独南部エルマウで開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国として、安倍晋三首相に協力を要請する。メルケル首相の訪日は2008年の北海道・洞爺湖サミット以来7年ぶりで、ウクライナ情勢やギリシャ支援を巡る対応、テロ対策などについて意見交換する見通し。アジア情勢の安定化などに「注文」を付けるかも注目される。
「メルケル首相は、オランド仏大統領とも最初はぎくしゃくしたが、今は理解し合う仲。いずれ安倍首相ともそうなれる」。メルケル首相側近の独政府筋は、現時点で日独両首相に「距離がある」事実をこう暗に認める。
背景には、「右傾化」が指摘される安倍政権への懸念がありそうだ。13年12月に安倍首相が靖国神社を参拝した直後には、独政府報道官が「地域の緊張を高める行為を控え、外交解決を探ってほしい」と公式に述べ、日本政府に苦言を呈した。
独メディアも安倍政権におおむね厳しい。特に特定秘密保護法導入を「言論の自由の危機」と一斉に批判。「福島(第1原発事故)については、まだ報道できるの?」(フランクフルター・アルゲマイネ紙)などと安倍政権の強硬姿勢に皮肉を浴びせる論調も目立った。
一方、安倍政権による集団的自衛権の行使容認については、理解を示す声が多い。外交担当の与党議員は「主要国として当然の判断。日本に対する懸念は独政府・与党内に高まっているが、メルケル首相は安倍首相を『決断できる人物』と考えているのも確かだ」と話す。
今回の訪日はサミット成功に向けた下準備に加え、第二次大戦から70年の節目に共に平和国家として国際社会に貢献してきた実績をアピールするのが狙いだ。日本側の「メンツをつぶす」ような強い苦言を呈する可能性は低いが、経済のみならず政治・外交でも欧州をけん引するドイツが発するメッセージは、今後の日欧関係にも一定の影響を及ぼすとみられる。