政治そのほか速
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米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古で政府による海底ボーリング調査が再開された。沖縄を代表する保守系政治家の一人で、米軍基地が町面積の約83%を占める嘉手納町の町長を1991〜2011年の5期務め、基地問題と格闘した宮城篤実(とくじつ)さん(78)に沖縄の現状と政府の姿勢について聞いた。
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国は安全保障体制上、重要な役割を担ってきた沖縄県との交渉の窓口を閉ざし、ボーリング調査を強行した。米軍基地はこれからも沖縄にあり続ける。だが、その当事者である沖縄県と交渉もしないのでは、日本という地に住む一人として国がどこに向かおうとしているのか全く先が見えない。
国は沖縄がいずれ、お金ほしさにすり寄ってくると思っているのかもしれない。だが、勘違いされては困る。昨年11月に米軍普天間飛行場の県内移設反対を訴えた翁長雄志(おなが・たけし)知事が圧勝したことで県民の意思は示された。もう沖縄県民は後戻りできない。移設に真剣に反対する県民は今、自らバス代を払い、弁当を持参して米軍キャンプ・シュワブ前に抗議に行っている。金で簡単に折れる状況ではない。
沖縄県民はこれまで国民として当然の負担を負ってきた。いや、それ以上の負担を負ってきた。国土面積0.6%の沖縄に今でも全国の米軍専用施設の74%が集中している。
だが、国家の安全保障は全国民の問題のはずだ。お互いがそれなりの覚悟を持って応分の負担を担うのがあるべき姿ではないのか。
米軍基地を抱える嘉手納町で行政の実務に携わってきた者としてボーリング調査の再開の是非を簡単に口にすることはできない。だが、政府には何らかのタイミングをとらえて県民の声に耳を傾けてほしい。対話の窓口を閉ざして国内に分裂をつくれば、国にとっても沖縄県にとっても不幸な事態になりかねない。沖縄県民も国民として認めるのならば、国家の懐に抱きかかえるゆとりを持ってほしい。【聞き手・前谷宏】