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福知山線脱線事故の控訴審判決のため、大阪高裁に入るJR西日本元社長の(左から)井手正敬、南谷昌二郎、垣内剛の各被告=27日午後、大阪市北区
兵庫県尼崎市で2005年4月、乗客106人が死亡した福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本歴代社長の井手正敬(79)、南谷昌二郎(73)、垣内剛(70)各被告の控訴審判決で、大阪高裁(横田信之裁判長)は27日、全員を無罪(求刑禁錮3年)とした一審判決を支持し、検察官役の指定弁護士の控訴を棄却した。
〔写真特集〕JR福知山線脱線事故
3人は、現場カーブで脱線事故が発生する危険性を予見できたのに、自動列車停止装置(ATS)の設置を指示する義務を怠ったとして強制起訴された。指定弁護士は、工事で現場カーブの半径を半減させ、列車本数を急増させたと主張した。
一審神戸地裁は13年9月、カーブにATSを設置した鉄道事業者は少なく、法的義務ではないと指摘。「速度超過による脱線事故が起きる具体的な予見可能性はなかった」と判断した。
横田裁判長は「ATSの整備基準を満たすような急カーブでも列車が安全に走行しており、現場カーブに脱線の恐れがあると評価すべきではない」と述べ、予見可能性を否定。大規模事業者として率先して安全対策を進めるべきだなどの主張については、「法人組織としての責任を問題にする場合には妥当だが、個人の刑事責任の判断では考慮できない」と退けた。