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先日話題になった「光の粒子と波の二重性を初めて同時に捉えた画像」に「それは違うぞ!」と米国物理学協会が待ったをかけました。
同協会ニュース通信「インサイド・サイエンス」のBen Steinディレクター曰く、ここでわれわれが目にしている画像は光子(光の粒子)の集合体を捉えたものであり、あるものは粒子として動き、またあるものは波動として動く、それを同時に撮っただけなんだそうな。
量子物理学(宇宙が複数あるっていう多元宇宙論、粒子が一度に2つの場所に存在する理論など、常人の理解を超越する学問をやってる分野)では、宇宙のあらゆる物体は最も基礎的レベルにおいて2つの性質を併せ持つと考えられています。光も環境に応じて粒子と波、いずれかの特徴を帯びます。
その片方を捉えた画像はあるんだけど、光子が一度に両方の特性を帯びるシーンを捉えた物理学者はいませんでした。それで大いに話題になったんですが、別にひとつの光子(光の粒子)が粒子と波の一人二役をやってるシーンではなかったのです。
以下はSteinさんの説明。
今回研究班は波を、幅がナノメートル(1メートルの10億分の1)単位の超細い「ナノワイヤ」に閉じ込めた。波は定常波、つまりギターの弦を弾いたときみたいに、定位置に留まったまま山と谷に上下動するタイプの波だ。
厳密に言うと、これもニュースの見出しにあるような光の波動ではない。実際にはワイヤ上で踊る光の波動と、ワイヤ表面を滑るように進む電磁波(ワイヤ沿いに荷電粒子が移動することで生まれる)のハイブリッドで、このふたつがヒップのところで繋がってるみたいな状態。俗に「表面プラズモンポラリトン」と呼ばれるもので、Wikipediaにも解説がある(日本版関連記事はここ)。
話を簡単にしたいので、ここでは単に光の波ということにしよう。この議論の目的上、波の構成要素が光子かハイブリットの物体かは特に問題ではない。光子でもハイブリットでも、どっちみち波として動くので。
今回の実験では、光子をナノワイヤにぶつけたところ光子が一定量加速し、ワイヤから個々の光子を吸収していることが示された。それで光が波と粒子の両方の性質を同時に帯びたというのだが、果たしてそうなのか?
実はこの光、そもそも別々の光子で成っていたのである。1個1個の動きも別々だ。研究班が観測したのは、ある光子は粒子として動き、別の光子は波のように動く場面である。…