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「想定外」続々、気象予報官はつらいよ

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「想定外」続々、気象予報官はつらいよ

「想定外」続々、気象予報官はつらいよ

「春に三日の晴れなし」と言われるように、天気が変わりやすい季節がすぐそこまで来ている。自然や人と向き合う予報の仕事は、努力と検証の積み重ねで、「当たって当たり前」とみられるようだ。
 京都市内は新年早々、大雪に見舞われた。銀世界に包まれ記録的な積雪となったが、京都地方気象台(中京区)がおおみそかに出した予想降雪量は平地で5センチだった。当時の状況を振り返ると、予報の難しさが見えてくる。
 気象台の一角に、芝生が植えられた「露場」がある。観測機器が設置され、0・5ミリ単位で計る雨量計や降水を確認する感雨器などの専門機器が並ぶ。中には水を張ったバケツのような容器や木の板も。「容器は『初氷』のため、板は『初霜』を観測するためです」と担当者。この場所で確認できた現象が一帯の気象観測となる。
 気象台は膨大なデータを集める。その結果を基に行われる仕事が予報だ。
 1月1日午後、市内で雪が舞った。強い風も吹き、みるみるうちに町を白く染めた。夜には道路も雪で覆われ、雪かき中での転倒など雪の影響で3日までに105人が病院搬送された。
 12月31日午後に京都地方気象台が発表した予報。見返してみると京都・亀岡地方の平地の予想降雪量は5センチだった。担当した予報官小原安幸さん(56)は「非常に難しい予報でした」。実は予想外の条件が次から次に重なっていたのだ。
 予報は、風や気温などの変化をコンピューターで計算した「数値予報」を基に行う。地域の観測状況も加味し、担当予報官の案を元に合議制で決定する。
 当時も近畿地方の上空に強い寒気が流れ込む見通しはあった。ただ大気が不安定になり、上層だけでなく下層の寒気も加わった。さらに、まとまった厚みのある「日本海寒帯気団収束帯」も重なり、幅広い雪雲が南下していく。
 すると、それまで吹いていた西向きの風が数時間で一変し、1日午後3時ごろには雪をもたらす北風になった。京都市内は過去10年で積雪量が15センチを超えたことがなく、ひどくても10センチと見ていた積雪量は、3日には観測史上3番目となる22センチを記録した。
 「今回の見積もりは甘かった」。積雪量がせめて注意報基準で収まってほしいと、自宅で小原さんは気が気でなかった。なぜあのとき警報が出せなかったのかと、今も思い返すという。
 「全く同じ天気はない。警報を発令して、予想量を的中できたら満足感はあるが、それより警報基準ほど被害が出ないことのほうがうれしいです」と語る。

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