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新たな車載半導体トップシェア企業の誕生へ

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新たな車載半導体トップシェア企業の誕生へ

 新たな車載半導体トップシェア企業の誕生へ

 合併により新たな売上高100億ドル規模の半導体メーカーが誕生

 既報の通り、NXP SemiconductorとFreescale Semiconductorは合併の最終段階に入った事を明らかにしたが、これに関するConference callが米国大西洋時間の3月2日に開催されたので、その内容を含めてもう少し詳細をお届けしたい。

 そもそも両社はほぼ同規模の会社である。2014年12月22日に米市場調査会社IHSが発表した半導体メーカーのWorldwide Ranking(Photo01)によれば、NXPの2014年度の売り上げが54億5700万ドルで14位、Freescaleは45億6000万ドルで17位となっている。この両社が合併した場合、単純に合算した売上高は100億1700万ドルとなり、ランキングでは東芝を抜いて7位に上がり、6位のTexas Instruments(TI)(114億2000万ドル)に肉薄する勢いになる。半導体業界もこのところさまざまな合併・買収が相次いでいるのはご存知の通りで、ある程度以上の規模が無いと生き残ってゆかれない、という状況の中での合併は、確かに経済合理性の観点から見ると筋は通っている。

 Photo01:半導体メーカーの2014年売上ランキング。出典はIHS

合併効果により自動車/IoT分野での躍進を狙う

 このあたりの話はまた後でするとして、まずはConference callの内容から。今回の合併により、特にHPMS(High Performance Mixed Signal)の分野で有力なポジションを確保できるのが大きいとする。特に自動車向けではNo.1になるし、またMCUマーケットでもNo.1になれることになる(Photo02)。また統合後1年で2億ドルの節約が可能になり、5億ドルのコスト相乗効果が生まれるほか、一株あたりの利益も改善する。当初は有利子負債が増えるが、これは6四半期で改善するという見通しも示されている(Photo02)。

 Photo02:HPMS周りの話は後述

 製品ポートフォリオに関しては、特に”Smarter World”として今後伸びてゆくと見られている市場向けに向けてのシナジー効果が大きく、特にSecurity CarとかADASの分野、それとIoTの分野で顧客と製品ポートフォリオの両面で拡充が期待できるとしている(Photo03)。

 Photo03:”Smarter World”の代表例が、右に並んだ4つの分野ということになる

 買収の方法は、Freescaleの普通株一株が、NXPの0.3521株+6.25ドルと交換という形になる。買収金額はおおよそ118億ドルで、うち98億ドルは株式交換、20億ドルが現金の形になる。このうち10億ドルはNXPの手持ち資金で、10億ドルは新たに借り入れをする形になる予定とされる(Photo04)。買収の株式がやけに中途半端なのは、この買収によって旧Freescaleの株主が全体の1/3を超えない、つまり絶対多数はNXPの株主が保持する状況を維持するためと思われる。また新会社の社長兼CEOはNXPのCEOであるRichard Clemmerが務めることも明らかにされており、なのでここまで合併とは書いてきたが、実態はNXPによるFreescaleの買収である。

 Photo04:すでに両社の取締役会は全員一致で賛成しており、次に両社の株主の承認を受け、その後で各国の機関(日本なら公正取引委員会)の認可をうけるという手順になるので、合併が成立するのは今年後半になるのは間違いない

幅広い製品ラインアップで自動車向け半導体トップシェアを獲得

 さて、もう少しポートフォリオを見て見たい。まずはHPMSマーケットに関してである(Photo05)。HPMSのマーケットでは、SAM(Served Available Market)はNXPが200億ドル弱、Freescaleが250億ドル弱といったところであるが、50億ドルほどはオーバーラップしており、合併後は400億ドルほどのSAMが期待できることになるとする。また売り上げで言えば、NXPが40億ドルちょいのHPMSと10億ドル強のSTDP(Standard Product)となり、一方FreescaleはHPMSのみでやはり40億ドルほどになる。合算すると、HPMSで80億ドル強+STDPで10億ドル強の売り上げが見込めるとしている。

 Photo05:どのあたりがOverlapするのか、の内訳については質疑応答でも明らかにされなかった

 これをもう少し細かく見ると、まずAutomotive(Photo06)ではNXPがNo.1のポジションにつくことになる。これはPowerTrainやInfortainment周りではもともとFreescaleのシェアが非常に高く、ここにKeyless EntryやSilicon Radio、Haul sensorなどのNXPのポートフォリオを組み合わせることで売り上げがさらに増える形だ。またADASだと、Freescaleはカメラやレーダーなどのラインアップが充実しており、一方NXPはConnected Car向けのソリューションを早くから手がけており、案外に重複分野が無いために、合併で素直にラインアップと売り上げが増えることになる。

 Photo06:No.2がRenesas Electronicsで、これにInfineon Technologies、STMicroelectronicsが続くというあたりだと思われる

 一方Automotiveを除いたMCUシェアについては(Photo07)、合併後のNXPのポジションはNo.2になるが、No.1も狙える程度のポジションに引き上げられると予想しているようだ。ちなみにそのAutomotive向けについて、本当にシェア拡大が出来るかという質問に対しての答えが興味深く「例えば日本はFreescaleは大きな成長率を記録しているが、絶対金額そのものはまだ低い。なので、合併によりさらなる金額の拡大を目指す」というコメントが質疑応答の中で出てきていた。

 Photo07:こちらは2013年のTAMをベースとした数字の模様。なので2014年度の売り上げではNXPがNo.1になる、ということらしい

 内容としてはおおむねこの程度である。現時点ではまだ大枠として合意が取れたという段階で、これから個々の製品ポートフォリオごとにどうラインアップをMergeしてゆくのかとか、開発拠点や各国の拠点をどう統合してゆくのかという議論が始まることになるかと思う。少なくとも表立って何かしらの動きが出るのは、最低でも両社の株主の承認を得てからの話で、当面は両社とも現状維持の状態であろうと想像される。

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