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死者・行方不明者が1万8000人を超えた東日本大震災は11日、発生から4年を迎える。いまだに避難者は約22万9000人に上り、津波や東京電力福島第1原発事故からの住宅再建は進んでいない。被災地に戻って再興を目指す人もいれば、新たな地で再出発した人も。閉館を決めた施設もある。それぞれの4年を追った。
【写真】東日本大震災から4年の朝を迎えた「奇跡の一本松」
原発事故による全町避難が続く福島県楢葉町。今春の住民帰還開始を目指す中、コンビニ「ファミリーマート楢葉町上繁岡店」が1月30日にオープンした。避難指示区域では初めての24時間営業。利用客は原発作業員や除染作業員が8割、ほかに町への一時帰宅者やトラック運転手が利用する。
オーナーの村尾智恵さん(57)は韓国人。共同オーナーを務める夫の晋平さん(54)との結婚を機に03年に来日。震災までは、福島第2原発の警備会社に勤務する夫の留守を守る専業主婦。楢葉町で暮らしながら、動物愛護団体の活動に携わっていた。原発事故で11年3月12日朝に避難命令が出たことで飼っていた犬猫とともにいわき市へ避難。その際、韓国大使館から帰国するよう指示されたが、日本に骨をうずめる覚悟で来たので断った。
ファミリーマートが楢葉のコンビニオーナーを探していた。昨年夏から準備して開店。アルバイト16人のほか、村尾さんが午前8時から午後8時、晋平さんが午後8時から午前8時まで働く。休みはなく「大変ですが、楢葉の復興のために頑張っています」と村尾さん。会話を交わす常連の作業員が多く、「ここがちょっとした憩いの場になってくれれば。息子みたいに思っているお客さんもいますよ」。
環境省による住宅や道路など、生活圏の除染は昨年3月にいったん完了し、電気や上下水道もほぼ復旧。町内を走るJR常磐線と高速道路が再開するなどインフラ整備が進み、復興工事に当たる企業の宿舎も増えている。「楢葉は海も山もあって自然が豊か。温泉もあるし最高の町。早くみんな帰って来てほしい」と復興を願い、「お年寄りのために移動販売をすることも考えています」と今後の青写真も描く。「死ぬまでここで暮らしていきたい」と言い切る。祖国以上に愛する町が元の姿を取り戻す日を信じて接客を続ける。