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■長野-山梨で「M6.8以上」30年以内に40%
■発生確率・区域分けし危険性強調、対策促進狙う
政府の地震調査委員会が24日公表した関東の活断層による地震の新評価は、地域によって地震のリスクに大きな差があることを浮き彫りにした。長野県から神奈川県などにかけての帯状の区域は地震発生確率が非常に高いとされ、防災対策の徹底が求められる。
関東は海側から2つのプレート(岩板)が陸の下に沈み込むなど地下構造が極めて複雑だ。こうした地質の特徴は、活断層の分布や地震を起こす頻度などに大きな影響を与えている。
長野県から山梨県にかけて南北に延びる帯状の区域は、マグニチュード(M)6・8以上の活断層地震が30年以内に起きる確率が、30~40%と関東で最も高い。
一帯は本州を東西に二分する地質境界の西縁で、全長約160キロに及ぶ活断層「糸魚川-静岡構造線断層帯」が走っているからだ。
非常に活発に動く活断層として知られ、長野県安曇野市から茅野市にかけての中北部は活動度が特に高い。地震の頻度はこれまで平均1千年間隔とされていたが、詳しい調査で、より頻繁な600~800年間隔と分かり、30年以内の発生確率は最大30%に倍増し、区域の確率も押し上げた。
静岡県東部や山梨、神奈川県など伊豆半島を取り巻く区域も確率は15~20%と高い。フィリピン海プレートが陸の下に沈み込んでいるため三浦半島断層群など多くの活断層があり、東京湾をまたいだ房総半島南部も同じ特徴を持つとされた。
伊豆半島はかつて島だったが、同プレートに乗って徐々に北上し、約100万年前に本州に衝突。現在も陸地を押し続けており、この影響で半島の根元付近には活動度の高い活断層が密集している。
一方、東京や埼玉、千葉の平野部などは目立った活断層が少なく、確率は1~3%とされた。
ただ、厚い堆積物に覆われているため地表で断層が見つかりにくく、地下に隠れている可能性も否定できない。
埼玉県伊奈町から川口市までの綾瀬川断層南部は、これまで活断層ではないとされていたが、地表が横にずれた痕跡などが確認され、新たに活断層と推定された。地震の発生確率は分かっていない。
◇
関東の活断層地震の地域評価は区域分けの根拠が一部で不明確で、確率の高低を判断する基準も存在しないなど防災への活用に向けて多くの課題がある。
地震調査委員会は今回の評価で、地震発生確率が非常に高い中部地方の糸魚川-静岡構造線断層帯を対象に含めた。この区域を仮に除外した場合、関東全域の確率は20~30%に半減するという。関東の危険性を強調することで、防災対策を加速させたい思惑がうかがえる。
本蔵義守委員長は「区域をどう分けるかで確率は変わる。どこかで区切らなくてはならないのは地域評価の限界だ」と話す。
区域分けは地質構造を基に判断したため、千葉県の房総半島南部は目立った活断層がないにもかかわらず、確率の高い区域に分類されるなど分かりにくい点もある。また横浜や甲府は確率の高い区域と低い区域が隣接しており、住民や自治体の困惑も予想される。
調査委は活断層の個別の地震発生確率について、30年以内に3%以上の場合は確率が高いと評価してきた。しかし地域別の確率は具体的な指標がなく、数値がどの程度の危険性を示すのか理解しにくい。
活断層の地域評価は今後、地震で強い揺れに見舞われる確率を示した全国地震動予測地図に反映する。ただ確率は一般に海溝型地震の方が高いため、活断層の影響は表示されにくい。地域評価を最終的にどう活用するかは不透明で、まだ試行錯誤の段階といえる。