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米Oracleのラリー・エリソン会長兼CTO(最高技術責任者)が4月9日、日本オラクルが先週都内で開催した「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」で基調講演を行った。
Oracleの創業者であるエリソン氏の講演や記者会見などでの発言は、同社の戦略だけでなく、世界のIT市場を長年にわたってリードしてきた経験に基づく見識や、競合他社に対する歯に衣着せぬ見方を示すことも多々あり、いつも注目を集めてきた。
今回も同社が“クラウドと言えばオラクルだと言われるようになる”と注力する「クラウド」をテーマにさまざまな発言があったが、その中から興味深かったものを取り上げ、筆者なりに意図を読んでみたい。
「クラウドはIT市場を拡大する」
今回のイベントは、Oracleが日本市場でもクラウド事業へ本格的に打って出ることをぶち上げるのが最大の目的である。とはいえ、Oracleは数年前までクラウド事業には慎重な姿勢を見せていた。エリソン氏もかつてはクラウドに懐疑的な見方を示していた。なぜ、その姿勢が変わったのか。同氏の上記の発言が、それを象徴しているように筆者は感じた。
ミソとなるのは、クラウドがIT市場の「移行」ではなく「拡大」につながるという解釈だ。エリソン氏はクラウドがIT市場を拡大する要因として、「中堅・中小規模の企業が新規顧客になり得る」ことを挙げた。
同社のクラウド事業はこれまで、プライベートクラウドもしくはオンプレミスとのハイブリッド利用が中心だった。しかし、これはデータベースを中心とした顧客の移行ニーズに応えるイメージが強い。しかもその多くは大手企業だ。
そこで今回、同社が強く打ち出したのがSaaS事業の拡大だ。パブリッククラウドとしてSaaSを前面に押し出し、市場の裾野を広げて新規顧客を獲得しようというのが、上記の発言に込められたエリソン氏の意図ではないだろうか。
「SaaSは今年(2015年)内にも売上高トップを目指す」
今回のイベントで最も威勢のよかったエリソン氏の発言である。同氏によると、OracleのSaaSは現在、売上規模で米Salesforce.comに続いて世界2位。先述のように新規顧客を獲得することで、一気にSaaSトップベンダーへ躍り出ようという意気込みだ。
この発言のくだりで興味深かったのが、オンプレミスのアプリケーション市場でOracleの前に立ちはだかっていた独SAPとの比較論だ。…