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川辺に生息し、大きく丈夫な歯を持ち、直径15cmの木すらわずか10分で伐ることが可能な動物ビーバー。彼らはその歯で倒した木々を使い、川をせき止め、"ダム"を作り、さらに中央部には住処を作ることでも知られている。このビーバーダムの大きさはマチマチだが、世界では長さ850mに及ぶものも確認されているという。
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ビーバーは、この性質ゆえに"生活のために周囲の環境を整えるヒト以外の唯一の動物"とも称されている。非常に賢い生き物であることは間違いないだろう。そんなビーバーだが、16日に英紙『Daily Mail』が伝えるところでは、自身が切り倒した樹木で圧迫死したという個体が見つかったという。
事故死したビーバーが発見されたのは、ノルウェー。記事では「ビーバーは、伐っている樹が倒れる瞬間、本能的に倒れる場所がわかると言われており、このように事故死するのは非常に珍しい」と動物学者がコメントを寄せている。第一発見者である木こりの男性も「25年間で初めて見た」と語ったそうだ。
まったくの余談だが、筆者の実家は伐採士(端的に言えば木こり)の会社を営んでいる。また、学生時代はげっ歯目類に顔が似ているとも言われ、これらが相まって"ビーバー"というあだ名が付けられていた。さらに、祖父は仕事中に伐った木材の下敷きになり、命の危機に陥っていたこともある。だからこの事件はとても"他人事"とは思えないのだ!!
現在、家業は筆者の従兄弟が継ぎ、従事している。さっそく、仕事中に樹に潰されないため、気をつけていることを聞いてみた。
「うちでは、1人で樹を伐るのが基本です。立木の約1.5倍の範囲には誰も居ないことを確認し、また逃げ場と逃げ道の確保を行ってから樹を伐りはじめます。そして伐る前には必ず、笛を吹いて合図を出し、周囲に注意を促しますね。
樹は斜面に生えている事が多く、斜面に添って刃を当てます。その後、その反対側に三角に切れ込みを入れるため、斜面に添って倒れるのが普通で、自分のほうに倒れてくることはあまりなく、潰されることはめったにありません。しかし、伐った樹がほかの樹に寄りかかり、かかり樹と呼ばれる状態になっているものを処理せずにおくと、危険です。何かの拍子に潰されてしまうこともあります」(現役・伐採士)
ちなみにビーバーが自身で伐採している樹に潰され圧死していたことを伝え、原因を考えられるか聞いたが「さぁ? 私はビーバーとは違うし、歯で伐採しないし」とけんもほろろに言われてしまった。
人間にはビーバーのような本能は備わっていない。そのため、事故を防ぐためにはやはり密なコミュニケーションを取り、安全確認を怠らないことが重要なようだ。人間と同様に自ら生活環境を変えるビーバーたち。快適さを求めるのは結構なことだが、くれぐれも事故には注意してもらいたい。
(文=ぬーとりあん・かぴばらんぬ)