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(5)教師サークル30年「学び続ける」

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(5)教師サークル30年「学び続ける」

(5)教師サークル30年「学び続ける」 
  • 「ふくの会」の勉強会で授業づくりについて説明する福山教諭。その話術に会場では笑いが絶えない(昨年12月末、山口県下関市で)=久保敏郎撮影
  •   山口県下関市の公民館に昨年12月末、全国から教師約60人が集まった。

      同市立勝山小学校の福山憲市教諭(54)主宰の教師サークル「ふくの会」が開いた勉強会だ。

      福山教諭が配った自作の問題プリントの1問目は、「『○人(うど)』という言葉を少なくとも5つ以上書き出そう」。若人(わこうど)、仲人(なこうど)……。1分間で書けた教師はゼロ。「わからない子の気持ちがわかるでしょう」と福山教諭。

      その後、初対面同士の参加者に相談させ、「最初に名前を言ってあいさつした人は? 先生がしないと、子どももやらなくていいんだと思ってしまう」。「授業中、子ども同士で相談をさせた時は誰が声を掛けたかをよく見て、認めてあげて。正解を出す以外でも様々な視点で評価を」。テンポ良く、授業をする心得を伝授した。

      広島県から参加した友田真教諭(30)は「一人ひとりを認める大切さがわかる。子どもが時間を惜しんで勉強したくなる授業につなげたい」と話した。

     

    「面白くない、やめよう」…女児の訴えが転機に

     

     

      福山教諭は、母子家庭できょうだい4人を育てた母を助けたくて、安定した給料が得られる教師になった。1983年、最初の担任は小学2年生。先輩教師からは「勉強せないかんよ」と声を掛けられたが、「教える内容は難しくないのに」と理解できず、教師用テキスト通りの授業をしていた。

      ところが、1か月ほどたった頃、社会科の授業中に女子児童が突然、大きな声で「面白くない、やめよう」と言い出した。他の児童も騒ぎ出し、つまらない授業だったことを思い知らされた。先輩教師主宰の自主勉強会に顔を出すようになった。

      授業を報告するたびに、「威圧して抑えているだけで子どもを育てていない」「子どもの行動の理由を考えたことがあるの」と、参加者から批判された。学力やつまずきを踏まえてオリジナルな授業をするようになり、問題プリントも自作した。児童から様々なテーマで自主学習ノートが提出され、毎日高さ2メートル分になった。単元ごとのテストの平均点はどの教科も95点に上がった。

      「子どもが勉強したいという気持ちになれば、学力は上がる。やる気に火をつけるのが教師」と確信した。

      「子どもに学ぶ意欲を持たせるには、教師も学び続けなければ」と、教師になって3年目に、「ふくの会」を設立。月2回、勉強会を開催し、今年4月、設立30年を迎える。今も教材の提示や声かけの方法などの研究を続け、共著も含め二十数冊の本をまとめた。

      勝山小では、2013年度から初任者の研修・教育を担当している。定年まであと6年。「若手を育てながら、『授業人』としての腕を上げたい」と、また担任をするのが希望だ。

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