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<4>「我流でいい、独学が最強です」

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<4>「我流でいい、独学が最強です」

<4>「我流でいい、独学が最強です」 親が、面倒なことを延々続けるわが子を見て不安になる理由に、試験のときに時間が足りないのではということがあります。

  小学生にとって大事な試験というのは、中学入試です。中学入試を意識して、答案を時間内にまとめる訓練というのは、6年の9月からで十分間に合います。だから6年の9月いっぱいまでは、時間を意識せず、時間無制限で問題を解けばいいんです。好きなようにやればいい。

  問題が解けるから賢くなるのではない。それなら解けて当たり前の問題だけやればいい。懇切丁寧に教わって、それで賢くなるわけでもない。考え続けるから賢くなるのです。解けるか解けないかは、実はどうでもいいのです。考える行為そのものが、算数の学習の本質です。

  教え子に、偏差値が30くらいの子がいました。塾の入室試験にも受からない。国語だけたまにできるんですが、算数理科社会がぜんぜんできない。でもその子は決してあきらめない。これだけできなくて、よく集中力が落ちないな、と感心しました。ただ、中学入試に受かりそうにない。6年になって少しずつ伸びましたが、教室では最後まで伸びませんでした。

  でも、最終的に第一志望校に受かりました。入学すると、数学は最初から絶好調で、学年で5番くらい。今高校2年生で、大手予備校の模試では、英数国の平均が75くらいあるそうです。この子の場合、最終的に独学を確立したのです。自分で考える。わからない、解けない。それでも考え続けることによって、この子は独学を確立する事ができたんです。

 

自分で見つけた解法=自分の「子ども」

 

 

  子どもはどうして自分の解き方に固執するのか。自分で見つけた解法は、自分の子どもみたいなものです。だから否定されたら怒る。むきになってそのやり方に固執するようになる。皆さんも自分の子どもを否定されると全力で怒りますね。理性ではわかっていても、偏差値が30ぐらい負けていても、絶対に認めない。うちの子にはこんなに賢い部分もあるのよと言い返したりする。同じです。子どもの解き方を否定してはいけません。その時点で、その子にとって一番いい解き方なのです。

  心配しなくても算数を好きでやっている子どもの解き方はどんどん進化していきます。書き出してずっとやっている子どもも、あるとき全部書かなくていいんだ、と気がつくようになります。

 

親に求められる「待つ力」

 

 

  親の力とは、待つ力です。環境と材料だけ整えて、後は信じて待つしかないのです。

  幸せな人生とは、自分らしく生きることです。そして、自分らしい生き方は、自分らしい学び方の延長線上にしかないのです。我流でいいのです。独学が最強です。

  私は大学受験で成功したとは思っていませんし、人生で成功しているとも思っていません。でも毎日が楽しくてしょうがない。やりたいことは全力でやる、やりたくないことは全力で拒む。14歳の頃からこれを続けてきたことが、今日につながっているのではないか。今の私の人生は私にとって唯一の正解です。過去に遡って修正したいことはひとつもない。

  お子さんをよその子と比べないでください。どの子も都合の悪いことは他人に見せません。だから親しか見えない子どもの欠点を、親はいっぱい見ています。他人の子の欠点はあまり見る機会がないので、よその子が良く見えてしまうことがあるかもしれません。

  成長の仕方というのは、個人差がある。早く歩けるようになったら、運動能力が高い子になるかというと、そうとは限らない。早く大きくなれば、そのまま背の高い人になるかというと、そうとも限らない。だから比べるなら、昨日のわが子と今日のわが子を比べてください。「あ、こんなことができるようになった」と。赤ちゃんの頃は、そんな風にわが子を見ていたと思います。今も子どもたちをそういう目で見てあげてください。(続く、構成・メディア局編集部 小倉剛)

プロフィル宮本 哲也(みやもと・てつや) 早稲田大学第一文学部卒業後、当時日本一の進学塾だったTAPに入社。SAPIX横浜初代教室長を経て、1993年、横浜に宮本算数教室設立。2009年に教室を東京に移し、今日に至る。2006年に出した「賢くなるパズル」(学研)はシリーズトータルで220万部を越えるベストセラーに。「賢くなるパズル」のメインである「計算ブロック」は英名KenKenで、世界10か国で翻訳出版されていて、読売新聞、NewYorkTimesなど国内外の多くの新聞、雑誌に連載されている。2015年から活動の拠点をアメリカ・ニューヨークに移す予定。
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