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南アフリカで日本式の学習塾の人気が高まっている。
黒人の子どもの多くが通う公立校は、教育の質が高いとは言い難いため、補完する存在として、親たちが期待を寄せているからだ。
この塾は「公文式教室」。一人一人がプリント問題を解きながら基礎学力をつける方式が世界で評判を呼び、日本を含む48か国・地域に教室がある。
南アフリカに初の教室ができたのが1991年。近年、黒人の所得が伸びたことで、比較的貧しい地域でも教室が増加。約250教室で算数・数学と英語を教えており、延べ約2万人が英語に翻訳された教材で学んでいる。
「まず一の位から計算してごらん」。10月初めの夕刻、同国最大の都市、ヨハネスブルク郊外の旧黒人居住区、ソウェトにある教室。3けたの掛け算問題に苦戦するムホ・ラボプタピ君(10)に、指導員が優しく語りかけると、止まっていた鉛筆が再びカリカリと動き出した。ムホ君は「丁寧に教えてくれる。算数が好きになった」と笑った。
教室には6~18歳の延べ約100人が通う。授業料は1教科につき月額約4000円。黒人家庭の平均月収約5万円からすれば、安くはないが、10歳の子を通わせるムバリさん(30)は「公立校はあてにならない。計算に強い日本の学習法に興味がある」と話す。
ムバリさんの公立校に対する不信感は、多くの親が抱く。特に黒人は、90年代前半に人種隔離政策(アパルトヘイト)が廃止されるまで、劣悪な教育環境に置かれてきた。
地元紙によると、今も教育予算の不足で教科書や机、いすが足りない公立校が各地にある。待遇改善を求める教員ストライキが毎年のように起き、授業が数週間中断する。
このため、黒人の子どもが多い公立校の学力はなかなか向上しない。昨年の全国テストで、公立校9年生(日本の中学3年生)の数学の平均正答率は14%だった。
ソウェトの教室を運営するマグデリン・チャンゲラさん(40)は「プリントに取り組むことで養われる集中力や目標を達成する習慣は、社会に出ても役立つ。子どもたちに勉強の大切さを広めていきたい」と話している。(ヨハネスブルク 上杉洋司)