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再開発が進む東京・渋谷を象徴する複合高層ビル「渋谷ヒカリエ」。
17階に入居している人材紹介会社「レバレジーズ」の入り口すぐの場所で目に飛び込んでくるのが、高さ3メートル、幅6メートルの大きな「緑の壁」だ。
この緑の壁は生きている観葉植物で作られている。小さな葉をつけるカポックや小型のヤシの仲間であるテーブルヤシ、細長い葉のドラセナ・コンシンネなどの約15種類だ。熱帯の日陰の植物が多い。
土の代わりに水ゴケが入った15センチ四方のプラスチックポットに植えられており、2週間に1回、水やりや植物の交換などを行う。太陽光が足りないため、人工照明で緑を維持する。
2年前、ヒカリエに入居した時、緑の壁は作られた。緑は同社のミーティングスペースに面している。ここには入社や転職の面接を受ける人など、会社外から多くの人が訪れる。
「初めて訪れたオフィスは誰でも緊張します。緑を見て、リラックスしてほしい」と人事部の斎藤宏幸さん。訪れた人から「ビルの中にこんなに多くの植物が植えられていて驚きました」という声も寄せられたという。
最近、「緑の壁」が増えている。太陽光の当たらない商業施設のフードコートや駅の構内などでも採用されている。
札幌市の「札幌駅前通地下歩行空間」にも先月末まで、高さ2メートル、幅1メートルの緑の壁が5枚設置されていた。
同市では、厳しい冬の間、少しでも緑を増やそうと、昨年から地下道の壁面緑化を始めた。「札幌国際芸術祭」が開かれることにちなみ、初めて夏にも緑を設置したという。「訪れた観光客から『本物ですか』と聞かれることもあります」(同市みどりの推進課)。今冬にも緑の壁を設置する予定だ。
緑の壁が注目されるきっかけは、2005年に愛知県で開かれた「愛・地球博」。高さ約15メートル、幅約150メートルという「バイオ・ラング」と名付けられた緑の壁が作られた。この製作が契機になって技術開発が進み、オフィスなどでの導入が進むようになった。
緑の壁の施工管理を行う「東邦レオ」では今年7月、東京都中央区にショールーム「ピアンタ・スタンツァ」を作った。「室内の緑化に関心を示す企業が増えており、一般の人にもアピールする場を作りました」と同社の大山雄也さん。店内は緑の壁で覆われ、まるで洞窟の中にいるようだ。
一般の住宅では業者の管理が必要な室内壁面緑化は難しいため、飾ることができる額縁入りの緑の商品なども販売している。縦90センチ、横50センチなどの木の枠に観葉植物が植えられるようになっている。
「観葉植物が点だとすると、壁面緑化は面で緑を感じることができる。絵画を飾るように、緑を壁に飾る時代が来てほしいと思っています」と大山さん。
花の卸売業者や園芸業者など約150社でつくる「屋内緑化推進協議会」事務局長の田中義一さんは「土地がなくてもすぐ利用できる室内の壁面緑化はこれからも広がると思います」と話す。(おわり)
(崎長敬志)