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来春開業予定の「上海ディズニーランド」など外国勢の進出ラッシュが続くなか、これといった魅力に乏しい国内組の多くは赤字にあえぐ。将来の来場者は3億人とも10億人とも予測される成長産業とされ、中国政府は中華民族の威信もかけて独自ブランドの育成に力を入れている。
◆「8割が倒産」
天津に昨夏開業したテーマパーク「方特歓楽世界」は、中国でいま最も人気のある国産アニメ「熊出没」のアトラクションやキャラクターグッズがそろっているのが売りだ。木を伐採する人間と森を守る熊の兄弟が主人公のこのアニメは、映画で昨年公開され、中国アニメ史上最大のヒットとなった。タイアップする方特歓楽世界は休日、大勢の家族連れらでにぎわう。
中国メディアによると、中国には大小約2500の国産テーマパークがある。だが方特歓楽世界のように看板キャラクターがあるのはまれだ。収支は「赤字7割、黒字1割、トントン2割」といわれる。苦戦する最大の理由は、独自性や創意工夫が乏しいことで、過去20年で8割が倒産したとの指摘もある。
そこに外国の有名パークが相次いで進出する。「ハローキティパーク」は今年1月、浙江省安吉県で一部開業した。「香港ディズニーランド」に続き、中国本土初の「上海ディズニーランド」は来春開業に向けて工事が進み、北京では「ユニバーサル・スタジオ」の工事が年内に始まる予定だ。
外国勢の相次ぐ参入について、「中国で世界水準のテーマパークが楽しめる新時代の到来」(旅行専門家)と前向きな評価がある一方、「国内組がいかに勝ち抜くかが課題」(中国紙・南方日報)との指摘もある。
◆「25年に3億人市場」
中国メディアによると、2013年の中国のテーマパーク入場者数は延べ1億8000万人だった。25年には3億2000万人と予測されている。業界では、中国でいま約7億人がテーマパークを楽しめる経済的余裕があり、20年には10億人に達すると試算する。
中国ならではのテーマパークがないわけではない。抗日戦争を戦った「八路軍」(人民解放軍の前身)にゆかりのある山西省には「旧日本軍」を倒す参加型アトラクションがある。新たにロケット発射基地が作られた海南省文昌市には、宇宙関連のテーマパーク建設が計画されている。
しかしディズニーランドに匹敵するような、多くの人を引きつける独自のテーマパークはまだない。「なぜ(西遊記の主人公の)孫悟空ではなく、ミッキーマウスなのか」という疑問の声もある。北京の小学生(8)は言った。「孫悟空と猪八戒のパークがあったらいいなあ」
中国政府も外国勢の市場席巻を警戒する。13年の全国人民代表大会(国会)では「孫悟空の室内型テーマパーク」が議論された。
背景には、西欧の価値観の浸透が、一党独裁体制を脅かすという習近平(シージンピン)政権の警戒感がある。教育現場では引き締めが強まっている。袁貴仁教育相は1月、全国の教育関係者を集めた会議で「西側の価値観を伝える教材を教室に入れるな」と指示した。
中国独自のテーマパークについて、社会学者の劉思敏氏は「中国の伝統文化の中にも『西遊記』や『三国志』など掘り下げられるテーマはある。ただ、テーマパークとして成功するには十分な人材、資本、工夫が必要だ。まだそのレベルにはない」と指摘する。(天津 竹腰雅彦)