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【ソウル=吉田敏行】イスラム過激派組織「イスラム国」が、韓国の少年を戦闘員に勧誘した際、高度な暗号化機能があるスマートフォンのメッセージアプリで連絡するよう指示していたことが分かった。
「イスラム国」は欧米の若者などを勧誘する際も使っているが、プライバシー保護を重視する利用者が暗号化機能を利用する傾向は強まっており、専門家は「規制は難しい」と指摘する。
韓国警察は「イスラム国」に傾倒してトルコで1月に消息を絶った10代の少年のパソコンを解析。その結果、ツイッターで知り合った「イスラム国」関係者とみられる男が少年に対し、高度な暗号化機能があるアプリで連絡するよう指示したことが判明。ただ、その後の2人のやりとりは捕捉できなかったという。
少年はトルコ到着後、現地の番号に電話をかけており、暗号化アプリを通して連絡先を知らされたとみられる。韓国の情報機関・国家情報院は2月下旬、国会の委員会で、少年が「イスラム国」に参加し、戦闘訓練を受けていると報告した。
問題の暗号化アプリは、個人情報を登録せず利用できるものだった。送信段階で高度な暗号化機能が使われ、受信者に届くまで解読できない状態が維持される。「イスラム国」のネット利用に詳しい米国のテロ対策アナリスト、J・M・バーガー氏は「『イスラム国』は1年以上前から活用している」と指摘した。
情報セキュリティ大学院大学の湯浅墾道(はるみち)教授(情報法)は、「(米中央情報局元職員)スノーデン氏の暴露により、テロ対策の名目で、国家機関が一般人の通信まで見ていたことがわかり、利用者はプライバシーの保護に敏感になっている。事業者側は顧客を守る立場を鮮明にしており、当局と意見が対立している」と話している。