和歌山県紀の川市後田（しれだ）の空き地で５日夕、近くの市立名手（なて）小５年・森田都史（とし）君（１１）が殺害された事件で、県警は７日未明、現場のすぐ近くに住む無職中村桜洲（おうしゅう）容疑者（２２）を殺人容疑で逮捕した。中村容疑者は、現場の空き地から北西約５０メートルの民家に居住しており、唯一の目撃情報と酷似していたという。県警は動機などの解明を進める。

　　発表では、中村容疑者は５日午後４時１５分頃、森田君の自宅から十数メートル西側の空き地で、森田君の胸を刃物で刺すなどして殺害した疑い。

　　司法解剖の結果、森田君には心臓を貫通するほどの深い刺し傷があった。また、なたのような凶器で頭頂部付近を２度切りつけられ、両腕も含め計約１０か所の傷があり、死因は胸を刺されたことによる失血死だった。

　　事件では、現場付近の男性が、複数の刃物を持ち、紺色のジャンパーにジーンズ姿で、ゴーグルのようなものをつけた不審人物を目撃。男性は、この人物が森田君を襲う様子は見ていないが、空き地の西側にある曲がり角を右折し、小走りで北方向に逃げるところまでを確認していた。

　　しかし、その後の目撃情報がまったくなかったことから、県警は付近の住民が事件に関与した可能性が高いと見て捜査。県警が周辺で聞き込みを重点的に進めた結果、中村容疑者の存在が捜査線上に浮上。中村容疑者の自宅は、最後に不審人物が目撃された曲がり角を北に行ったすぐ先にあった。