政治そのほか速
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正面から眺めて、あまりの美しさに思わずため息がこぼれた。左右対称の端正な洋風建築。ゲーブルと呼ばれる屋根飾りや、ギリシャ建築を思わせる正面玄関が気品を漂わせる。
南砺福野高校の巌浄閣は、1903年に建てられた旧県立農学校の校舎だ。改築にあたり、68年、本館部分が現在地へ移築され、当時の県知事により名付けられた。
「学校の創立功労者である島巌先生の浄財で建てられたという意味が込められている」。長年、同校の教壇に立ち、現在は同窓会事務局長を務める竹下宏子さんは、名前の由来をそう説明する。
現存する数少ない明治期の洋風学校建築であることが認められ、97年に国の重要文化財に指定された。その後、保存修理が行われ、美しい姿がよみがえった。現在、館内は資料展示室となっており、事前に予約すれば見学も可能だ。
分厚いしっくいの壁、あめ色に光る木の階段に時の重みを感じる。「このガラスも貴重なもの」と竹下さん。当時のガラスは手作りのため、気泡が入ったり、波打ったりしている。微妙なゆがみがまた味わい深い。
歴史あるこの校舎、最近ではアニメ作品の舞台にもなった。2013年春のアニメ企画展期間中には、5000人ものファンが訪れたという。
郷土の誇りであり、同校のシンボルでもある。「取り壊しの話は幾度も出たそうです」という竹下さんの言葉が耳に残る。この校舎を愛する人々の思いが、歴史遺産をいまに伝えたのだろう。