政治そのほか速
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「絶対に帰ってくると信じている」。「イスラム国」を名乗る過激派組織が公開した新たな殺害予告映像では、交渉期限が「24時間」に区切られた。
拘束されているジャーナリスト、後藤健二さん(47)の母親や知人らは28日、深夜に迫ったタイムリミットに焦りを募らせながらも、強い気持ちで解放を待ち望んでいる。
◆母親
後藤さんとみられる男性の新たな映像の公開から一夜明けた28日朝、母親の石堂順子さん(78)は、夫の行夫さん(78)と一緒に東京都内の自宅を出た。後藤さんが小学生の時に描いた絵を公開するなど、これまで息子への思いを連日、報道陣に訴えて救出につなげようとしてきた石堂さんだったが、この日は問いかけに答えず、うつむいたままタクシーに乗り込んだ。
向かった先は、千代田区内にある国会議員事務所。政府関係者に働きかけられないかと考えたところ、知人を通じて紹介を受けたという。
知人によると、石堂さんの支援者が同日、安倍首相らに面会を求める要望書を首相官邸に送った。実現した場合、後藤さんの救出やヨルダン政府との交渉に最後まで全力を挙げてほしいと求める文書を渡す予定だという。
◆学校
後藤さんは取材活動の傍ら、学校や児童養護施設で、紛争地の現状やジャーナリストの仕事などを子どもたちに伝える活動を行ってきた。
後藤さんが2010年10月に訪れた長崎市の児童養護施設「明星園」の奥貫賢治園長(66)は、映像の後藤さんとみられる男性を見て、「かなり疲弊している。4年前に会った時とは表情が全然違う」と驚いた。子どもたちに自分の仕事などを生き生きと語っていたことを思い出しながら、「子どもたちは、みんな後藤さんのことを覚えていて心配している。とにかく無事でいてほしい」と祈るように話した。
仙台市の団体で事務局長を務める五十嵐栄子さん(61)は、後藤さんを招いた講演会を企画するなど交流を図ってきた。「新たなメッセージが公開されてから半日がたってしまい、彼の命のことを思うと、とても穏やかではいられない」と不安を口にしながらも、「後藤さんは戦地で暮らす立場の弱い人たちについて伝えてくれる貴重なジャーナリスト。希望を捨てず、解放を祈りたい」と語った。
05年以降、総合学習の時間に後藤さんが講義をしている私立玉川聖学院(東京都世田谷区)ではこの日、授業前の礼拝で、生徒たちや教員がチャペルに集まり、解放を祈った。拘束が伝えられて以降、生徒たちは毎日、下校前にも後藤さんの無事を願って、祈りをささげているという。
◆知人
後藤さんと親しい関係者からも、解放を願う切実な声が相次いだ。
知人で、パキスタンの貧しい子どもたちの就学を支援している国際支援団体「4U WORLD」代表の喜多村潤さん(29)は、パキスタンでこのニュースを知った。「イスラム国がどんなメッセージを送ってきても、それに一喜一憂したくない。誰が何と言おうと、後藤さんは絶対帰ってくると信じている」と、自らに強く言い聞かせるように語った。
後藤さんとヨルダンで取材した経験のある日本ビジュアル・ジャーナリスト協会の豊田直巳さん(58)は「24時間は短すぎる」と憤り、「日本、ヨルダン両政府は、まず時間を延ばすよう交渉すべきだ。言葉をかけられるなら、絶望しないで、希望を持って頑張ってと言いたい」と力を込めた。