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岩手、宮城、福島3県の沿岸部で、東日本大震災の津波で自宅が全壊や流失など重大な被害を受けた世帯のうち、6割が新たな住まいを確保したことが分かった。新築や補修、災害公営住宅への入居などに見通しが立ち、仮設住宅を離れる人も増えている。一方、大規模な造成工事が必要な高台への集団移転などに時間がかかり、再建方法を決めかねている住民もいる。
被災者生活再建支援法に基づき、被害が大きかった世帯が受け取る「基礎支援金」の支給件数は、3県沿岸部の計36市町村で16万6490件。このうち新築や補修、賃貸などで住宅を確保できる世帯が対象の「加算支援金」の支給が9万5342件、完成した災害公営住宅は4566戸となった(集計は1月31日時点)。
宮城県の15市町では3県の75%に当たる12万4841件の基礎支援金が支給された。補修が可能な世帯が多く、62%が住まいを確保。岩手県では2万2576件のうち43%、福島県でも1万9073件のうち63%が確保した。
災害公営住宅は3県の計32市町村で整備するうち、福島県の沿岸6市町の2488戸が2015年度中にほぼ完成し、岩手、宮城両県では16年度末までに9割以上が完成予定だ。
一方、自治体が進める被災者向けの宅地整備には遅れが目立つ。岩手県は、高台への防災集団移転を含む8000区画の整備を計画するが、完成は約7%にとどまる。県によると、加算支援金を受けた5600世帯のうち約4000世帯は個人で土地を見つけるなどしており、県は「宅地供給を待たず、個々で家を建てるケースがある」とみている。
宮城県石巻市では36市町村で最多の3000区画余りの宅地を供給予定だが、完成したのは1割弱。「用地買収はほぼ終わり、15年度が工事のピークになる」(担当者)という。
一方、再建方法が確定しない住民もいる。岩手県が11市町村で行った意向調査では、2割以上が再建方法を「検討中」などと回答。宮城県も「2〜3割の世帯の意向が分からない」としている。