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宇宙開発上の大きな問題になっているスペースデブリ(宇宙ごみ)に軌道上からレーザーを照射し、除去する新しい手法を理化学研究所や欧州の研究機関などの共同チームが考案した。専用衛星を打ち上げて掃除を行えば、小さなデブリの大部分を5年で除去できるという。
スペースデブリは制御不能になった人工衛星やロケットなどの本体やその部品などで、約3000トンが衛星軌道上を周回しているとされる。人工衛星などに衝突すれば大きな被害が出るおそれがあり、映画「ゼロ・グラビティ」はスペースシャトルにデブリが衝突し、遭難する様子を描いた。
デブリのうち0.3~10センチという小サイズのものは70万個以上が存在するという、だが小さいため検出が難しく、除去するための方法も提案されていなかった。
理研の戎崎俊一主任研究員、和田智之グループディレクターらと仏エコール・ポリテクニークなどの共同研究グループは、小サイズのデブリをレーザーで狙い撃ちすることで除去する新しい手法を考案した。強力なレーザーをデブリに照射すると、デブリ表面からプラズマが噴き出す「プラズマアブレーション」という現象が起きる。このアブレーションによる反作用(反力)でデブリが減速し、最終的に地球大気に突入させることができるという。
平均500キロワットのレーザーパルスを100キロ以上離れたところから10秒程度照射すれば、10センチサイズのデブリを大気に突入させることが可能としている。デブリの検出には口径2.5メートルの超広角望遠鏡を使い、高精度なレーザー光学系も最新の光学設計技術で十分実現できるという。
研究グループは、米国やロシアなどの国際協力により20年以内にデブリ除去を実行したい考え。「宇宙開発競争の結果、宇宙はごみだらけになってしまった。次世代の人類にきれいで安全な宇宙を渡すために努力することが、今の世代の責務」として、今後も研究を続ける。